かわちのタイムスNo.10(20140801) ← クリックすると画像が見られます。

【1面】

  労働安全衛生法を一部改正

  ストレスチェックが義務に

 

今回の改正の目玉「メンタルヘルス対策の充実・強化」は次の様に定められました。

◆労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師又は保健師による検査(ストレスチェック)の実施を事業者に義務づける。ただし、従業員50人未満の事業場については、当分の間、努力義務とする。

労働者の受検は義務でなく、任意とされました。従業員50人未満の事業場については、「当分の間、努力義務」となりましたが、5年後に予定されている見直しで義務となる可能性もあります。

◆事業者は、検査結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないこととする。

ストレスチェックの結果は原則として本人のみに通知され、会社に知らせる場合は本人の同意が必要です。ストレスチェックの結果や、面接指導の申出を理由とする不利益取り扱いは禁止されます。

以前、厚労省が示した9項目のチェックリストは、「モデル」に過ぎません。厚労省ホームページ「こころの耳」には、57項目の「職業性ストレス簡易調査票」が掲載されていますし、民間機関・会社も様々な質問票を宣伝しています。

新制度は未整備な点も多々ありますが、会社にとっては人事労務管理の適正化、労働者にとっては自己の精神的健康状態の把握につなげていくことが大切です。

 労働安全衛生法の改正点(2014.6.25公布)

1.化学物質管理のあり方の見直し

2.メンタルヘルス対策の充実・強化

3.受動喫煙防止対策の推進

4.重大な労働災害を繰り返す企業への対応

5.外国に立地する検査機関等への対応

6.規制・届出の見直し等

 

   姫路の地で 河内 を語る

昨年4月から講師を務めている「派遣元責任者講習」の受け持ち会場が大阪から西へ広がり、7月から姫路、8月から神戸が加わりました。

7月の姫路は炎天でした。午前中に、黒田官兵衛ブームに沸く姫路城界隈を観光用レンタサイクルで回りました。修理期間中の大天守には上れませんが、世界遺産の美しい城郭を見ることができました。千姫ゆかりの百間(ひゃっけん)廊下も体験しました。

午後の講義の休憩時間に、姫路の派遣会社の社長さんから、「『かわちの』とはいい名前ですなー」と声をかけていただきました。この年配の男性は、今東光=悪名=八尾の朝吉=勝新太郎のファンだそうです。「我が意を得たり」とはこのことです。

講義の息抜きに、「摂河泉三国のうち、河内の国はどうなったか?」の話をしました。正解は、昭和42年の布施・河内・枚岡の三市合併により、河内市がなくなり、東大阪市が生まれています。

 

【2面】

  「子ども・子育て支援新制度」で

  どうなる? 学童保育   パート4

筆者の青春時代の思い出での一つであり、今でも「いい仕事だなあ」と思えるのが学童保育の指導員です。

指導していた小学生から、「おにいちゃん(先生ではない)は、大きくなったら何になるの」とよく言われました。

子どもたちが夢中になって「遊び呆け」ていて、大人がそれを全力で保障している、それが指導員の仕事です。

しかし、学童保育は国の制度化が遅れ、自治体によって、運営主体から保育料、保育内容まで千差万別の状況が続いてきました。

「子ども・子育て支援新制度」では、学童保育(放課後児童クラブ)の ①新たな基準づくり ②待機児童解消 ③小学校6年生までの対象の引き上げが掲げられています。

高学年の学童保育には、賛否両論があるようです。

筆者の経験では、「9歳の壁」と呼ばれる発達の節を超えて自我に目覚める高学年の子どもたちこそ、異年齢集団の核(つまりガキ大将)になれるのです。

その力は様々な場面で発揮されます。たとえば、料理が上手な5年生の女子は、1年生から「給食のおばちゃん」と慕われていました。

市町村の条例によって、幼保連携型認定子ども園や小規模保育施設が作られようとしていますが、学童保育(放課後児童クラブ)は、国の最低基準を明確にすることが先決ではないでしょうか。

「地域のニーズに見合った」ものにしていくのは、それからでも遅くないと考えます。

 

   だから映画はおもしろい vol.8

  『日本の悲劇 (1946年、1953年、2012年)

3人の監督が、題名どおり、それぞれの時代の「日本の悲劇」を描きました。

●1946年の作品は、亀井文夫監督によるドキュメンタリーです。亀井監督は戦時中の『戦ふ兵隊』が反戦(厭戦)映画とみなされ、治安維持法による弾圧を受けました。終戦の翌年、日本帝国主義の「侵略戦争」を真正面から告発したこの作品は、今度はGHQによって上映禁止になります。日本の「民主化」より反共を優先したアメリカの思惑によるものでしょう。

●1953年の木下惠介監督の作品は、女手一つで戦後の混乱期に子どもを育てた戦争未亡人の悲哀が描かれています。母(望月優子)は旅館の女中をしながら娘・息子に高等教育を受けさせるのですが、子どもたちには母の姿が淫らに感じられ、離れていってしまうのです。木下作品の中の「社会派」に位置する映画です。

●2012年の小林政広監督の作品は、「消えた老人」問題がテーマです。大病を患い、自ら命を絶って年金を残そうとする老父(仲代達也)と、それをやめさせようとする失業中の息子(北村一輝)との凄絶な攻防が繰り広げられます。

各地で百歳を超える多くの高齢者が「行方不明」になり、「年金不正受給」として取り上げられました。しかし、この映画の様に、老親の年金が唯一の生きる術だとしたら、それを子どもに残そうとする行為は「不正受給」の一言で片付けられるのか。生活保護を受けられずに餓死に至る事件が後を絶たず、在宅死という名の孤独死が急増している現代日本。「日本の悲劇」は繰り返されるのではないでしょうか。

「日本人は弱者に冷たいのだろうか」。ふと、そんな思いにとらわれます。

 

    編集後記

▼4年に一度、時差に苦しめられるワールド・カップの1ヵ月が終わりました。国連よりFIFAの加盟国が多いのも頷けます。

▼もし「霊能力者」がいるなら、「ゲリラ豪雨」を予期してほしい。今年も市役所から土嚢を借り出しましたが、使わずに済むことを願っています。