かわちのタイムスNo.68(20240401) ← クリックすると画像が見られます。

【1面】

報酬減+加算増で改善できるの?

一本化される介護処遇改善加算

毎年の様に変更される介護処遇改善加算。今年は介護保険法と介護報酬が同時改定されます。

◆改定で訪問介護が崩壊?

処遇改善加算計画届の提出期限(4月15日)を前に3月27日・28日に3回の説明会を開催し、13社が出席されました。

昨年度、訪問介護事業所の倒産・休廃業が過去最多となっている中で、報酬2%引き下げは訪問介護の崩壊につながりかねない事態です。

処遇改善加算は介護報酬を補完するものではなく、他産業より相当低い介護職員の給与改善のためのものです。

2年前の「9千円賃上げ」に続いて、今年は「6千円賃上げ」の国庫予算が組まれました。2~5月分の「処遇改善支援補助金」は申請した事業所に支給され、6月以降は介護報酬に組み込まれます。

◆「ややこしい」届・報告

そのため、今年は計画届・実績報告が下表の様にイレギュラーとなり、実務負担が大変です。

計画届・報告は事業所情報をもとに、かわちの社労士が作成・提出します。

    時 期   施行・改正内容
2024(R6)年2月 「6000円賃上げ」

 処遇改善支援補助金実施

4月15日 市町村に処遇改善加算計画届

都道府県に支援補助金計画届

6月から 処遇改善加算「一本化」
7月31日 R5年処遇改善加算実績報告
?月 支援補助金実績報告

 

R6年度は大幅に拡充!

キャリアアップ助成金 

正社員化コース

★ 有期雇用労働者などを正社員に転換し、賃金を3%以上増額した会社がもらえます。

●もらえる金額が拡充 

転換前⇒後 中小企業 大企業 その他の加算
有期⇒正規 80万円 60万円 ・派遣⇒正規
無期⇒正規 40万円 30万円 ・母(父)子家庭の母(父)
新たに規定 +20万円 +15万円 ・人材開発支援助成金の訓練終了後

●対象となる有期雇用労働者の範囲が拡充

雇用期間6ヵ月から3年以内    →   6ヵ月以上

(但し5年を超えた有期雇用労働者は無期と同額)

ココに注意!

・上記の金額は6ヵ月ごとに2期に分けて支給

・新たに正社員転換制度の規定をつくり、初めて転換した時(一人目のみ)に加算がある

(例)1期目40万円+20万円、2期目40万円

・正社員は就業規則により、「賞与または退職金」と「昇給」のどちらも適用されること

・転換前の有期雇用労働者などは、賃金の額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を受けていること

キャリアアップ助成金の申請は社労士が代行します。就業規則作成もご相談を!

 

【2面】

働き方改革」問答 

医師の労働時間上限規制

「宿日直」の扱いに注意

社 長 2024年問題は、うちには関係なかったかな?

社労士 この4月から労働時間の上限規制が始まったのは①建設業②長距離運送業③勤務医です。運送業の労働時間規制による人手不足は製造・販売など物流を利用する事業に影響します。

社 長 病院で長く待たされるのも「医師の働き方改革」のせいか。

社労士 それは単純に、医師不足のせいですね。毎年1万人が医師になるのですが、社会保険労務士の2~3千人に比べても少ないと感じます。

社 長 その上に労働時間を短くするということか。

社労士 勤務医の上限規制は「緩い」もので、時間外労働が年間960時間のA水準と 1860時間のB(救急医療等)・C(研修医養成等)水準に分けられました。

社 長 残業時間の短い方が「ええ水準」というのやね。

社労士 「宿日直」の許可を取っている病院では、労働時間から除くことができます。

社 長 そう言えば、わが社でも機械警備を導入する前は宿直をしていたものや。

社労士 私も経験がありますが、病院の宿直は寝るだけの「寝当直」とは違うので、従事する業務の内容など注意が必要です。勤務医の過労死事件も注目されていますし。

社 長 「医者の不養生」でなく、健康で元気なドクターに診てもらいたいね。

 

だから映画はおもしろい vol.57

     サリー  Salli                 

      (2023年、台湾・フランス)

●映画ファンの春の「お楽しみ」第19回大阪アジアン映画祭。肌寒い日が続いた3月、台湾・フランス、フィリピン、ジョージア・スイス、タイ制作の4作品を一日で観賞しました。

●養鶏で泥まみれの毎日を過ごすうち中年にさしかかっていた台湾の女性・莎莉が、姪っ子の影響で「出会い系アプリ」にはまり、フランス人と恋に落ちる。ロマンス詐欺だと周囲に言われるなか、彼女は愛を確かめにパリへ行く…。コメディータッチのヒューマンドラマです。何といっても鶏が可愛く、鶏の飼育とパリの名所(凱旋門、エッフェル塔…)の画像のやり取りが楽しい映画です。

●本作は映画祭で「来るべき才能賞」「ABCテレビ賞(準グランプリ?)」をダブル受賞しました。国際ロマンス詐欺というありがちな題材ながら、予想もしなかった展開とひねりが加わり、世界中がインターネットでつながり、情報に踊らされる今だからこそ、家族や友人との触れあい、犬や鶏までを大切に思う心がほっこりさせます。

●観賞した4本中、監督・プロデューサーの舞台挨拶・インタビューが3本ありました。いつもながら、通訳を待たずにリアクションする観客の多さに驚きます。各国からの参加者だけでなく、英語などに通じている日本人が多く、羨ましくもあります。5ヵ国後の字幕が付いたフィリピン映画に出演した女優さん(通訳の役)も登壇。本当に5ヵ国語が話せるといいます。通訳に頼る筆者は、「字幕の良さもあるさ」という心境です。

 

編集後記

▼3月は思いがけなく、異なるアマチュア・バンドのコンサートに2度も参加。フォークなど、青春時代の思い出の曲の数々を楽しみました。

▼こちらは3月恒例、筆者が参加する自主研究会の合同発表会。「ウーバーイーツ配達員の実態報告」の記念講演もあり、「雇用類似の働き方」を考える機会になりました。