かわちのタイムスNo.44(20200401) ← クリックすると画像が見られます。

【1面】

コロナ自粛に補償を!
中小企業を応援します

新型コロナウイルスによる自粛から経済危機に。中小企業と労働者への補償は焦眉の課題です。

当事務所のお客様にもコロナの影響が広がっています。

◆ホテルの調理が派遣切り
有名ホテルの調理部門を担う企業(派遣先)から派遣元に対して、「4月以降は契約を打ち切る」と一方的な連絡が。

派遣元は「派遣先の事情による中途解約なので、派遣労働者に対する休業手当の損害賠償に応じてほしい」と要望しましたが…。

リーマンショック時の「年越し派遣村」を想い起します。

◆飲食店は3月の売上が激減
観光客と大学生に人気の焼き肉店では、2月から外国からの団体客、3月からは国内外の個人客もほとんど来店がなくなりました。学生による「追い出しコンパ」も激減。「新入生歓迎コンパ」も期待できません。

どちらも、労働者に休業手当を支給する形で雇用調整助成金(特例措置)の申請を考えています。美容室は学校の卒業式の着付がキャンセルになり、常連客も来なくなるなど、先が見えない状況です。

介護事業所のマスク不足も深刻です。

◆自粛に補償の「形」を早く
医療体制の強化と合わせて、緊急の経済対策が期待される中、助成金・支援金の拡充・新設が打ち出されました。

今のところ思い切った予算措置とは言えず、活用できる事業所・個人の範囲も限られています。

国や自治体の自粛の要請のために影響を受けた企業には、補償が行われなければなりません。現状は補償がないので、自粛も中途半端にならざるをえないのです。

消費税増税による景気後退がコロナ感染によって一気に加速されてしまいました。財源にこだわらず、ヨーロッパのように手厚い補償を打ち出すべきです。

助成金の活用など、かわちの社労士にお気軽にご相談ください。

 

新型コロナウイルス感染症対応
助成金活用で雇用維持を!

① 雇用調整助成金特例措置
緊急対応期間4月1日から6月30日まで)として、全国で以下の特例措置を実施
○新型コロナの影響を受ける全業種対象
○1ヵ月の売上が前年同月の5%以上低下
○雇用維持のため、従業員に休業手当を支給
○雇用保険被保険者でない労働者も対象
○計画届の事後提出を認める(6月30日まで)
○1年以内に同助成金を受けた企業も対象
●助成率は4/5(中小)、2/3(大企業)
解雇を行わないなら9/10(中小)、3/4(大)
●支給限度日数は1年100日、3年150日+上記対象期間
※リーマンショック時(2008年)を超える助成内容ですが、さらなる拡充が期待されます。

②-1 小学校休業等対応助成金
○正規・非正規雇用を問わず、小学校等の臨時休業により仕事を休まざるをえなくなった保護者への支援
●1日当り8,330円を上限に賃金の10割支給

②-2 小学校休業等対応支援金
○フリーランス(業務委託)にも支援金を創設
●1日当り4,100円(定額)を支給

 

【2面】

同一労働同一賃金(4)
待遇差の内容・理由の説明義務

正社員と有期社員・パートタイム労働者の待遇に違いのある企業では、次の2点が必要になります。

①待遇の違いが働き方や役割の違いに応じたものである

②労働者から説明を求められたときに、待遇の違いの内容や不合理な待遇差ではない理由が説明できる

説明は口頭でもOKです。

◆基本給
評価制度に基づいた職能資格給や役割給は不合理と判断されないが、勤続年数の要素だけの基本給や職務給は認められない可能性がある。

◆手当・賞与(下表参照)

同一労働同一賃金のヒント

◇役職手当
役職者としての業務や責任に対して支払うものなので、その内容で判断。同じ業務内容・職務ならば同様に支給する。
◇職務手当・資格手当
特定の職務や資格を有する業務に対する手当なので、職務の内容で判断。具体的な業務に結びつかない手当は見直すほうが無難である。
◇精皆勤手当
業務を円滑に進めるために皆勤を奨励する趣旨で支給されるので職務の内容で判断する。
◇時間外手当、深夜・休日労働手当
職務の内容に関わらず、有期社員・パートも正社員と同じ割増率にする。
◇通勤手当
正社員と有期社員・パートで違いを設けるのは難しい。
◇賞与
賞与は労働の対価の後払い、功労報償、生活費の補助、労働者の意欲向上といったもの。正社員と有期社員・パートで差を設けることが認められるかどうかは、賞与の内容によるが、寸志だけでも支給することを検討してはどうか。

 

だから映画はおもしろい
                                          vol.37

夕霧花園 (原題)
The Garden of Evening Mists

           (2019年、マレーシア)

●第15回大阪アジアン映画祭が3月6日から15日まで行われました。新型コロナウイルス感染防止の自粛ムードの下で、コロナ対策に配慮しつつ、自主的判断を貫き開催されました。ただし、関係者の舞台挨拶・インタビュー・サイン会などは中止で、観客の入りも少なめでした。それでも熱心なファンが集まり、参加できた監督やプロデューサーが客席に散見されました。
筆者は今年もオープニングとクロージングに参加し、4作品を鑑賞しました。
●オープニング作品の「夕霧花園」はマレーシア出身の作家による英文小説が原作で、台湾のトム・リン監督はじめ様々な国と地域からスタッフとキャストが招かれました。
阿部寛の英語には驚きましたが、台湾でも「ローマ人的な日本人」(「テルマエ・ロマエ」による)として人気があるそうです。
●主人公のユンリン(リー・シンジエ)は太平洋戦争時に日本軍に強制連行され、妹は慰安婦にされ、自身は拷問を受けました。戦後、亡き妹の夢である日本庭園を造るため、有名な日本人庭師の中村有朋(阿部)を「夕霧花園」に尋ねます。有朋は自分で見習いをしながら庭造りを学ぶことを提案しました。実は有朋は日本軍の命を受けてマレーシアに送り込まれていたのです。その真実を知るため、ユンリンは30年後に再び「夕霧花園」を訪れたのでした。
●日本軍の蛮行を取り上げているので、日本庭園などの和の文化を描きながらも、今の日本では製作できない映画かもしれません。

 

編集後記

▼森友疑惑で自殺した赤木さんの裁判が始まります。二人の代理人は過労死問題の研究会の講師として親交のある弁護士さんです。
赤木さんの無念を晴らしてもらいたいと思います。
▼野球がない、花見に行けない、入学式がない、入社式はオンライン。暖かくなっても春らしくない日が続きます。