かわちのタイムスNo.39(20190601) ← クリックすると画像が見られます。

 

【1面】

同一労働同一賃金(1)

不合理な待遇差とは

 「働き方改革」で示された「同一労働同一賃金」。何が問題で、どう対応すればいいのでしょうか。

●「同一労働同一賃金」とは?

同一(価値)労働同一賃金の本来の意味は、その職務を分析し・評価して、その労働の価値が同じならば、同じ賃金を支払うということです。

欧米ではこの制度の確立が進み、産業別に賃金水準が定められている国もあります。

●なぜ「日本型」というのか?

日本の雇用の特徴は、①終身雇用②年功序列的な人事・賃金制度③企業別労働組合にありました。この長年の雇用慣行を変えるのは簡単には行きません。

そこで、同じ会社の中にある正規社員と非正規社員(パート・有期雇用・派遣)の格差是正のために取り組むことから始めることにしたのです。

それが「日本型」同一労働同一賃金といわれるものです。

●正規・非正規の格差は深刻

年収で比較すると、非正規は正規の4割程度にとどまっています。【下表参照】

「年収3百万円時代」という言葉が流行りましたが、非正規の多くは年収2百万円以下で、「ワーキング・プア」が広がっています。

●不合理な待遇差は禁止に

同じ会社の中で、正社員と非正規社員の間に、賃金だけでなく教育訓練・福利厚生も含む待遇に不合理な差をつけることが禁止されます。

来年4月(中小企業は再来年4月)の実施時期に向けて、準備を進めていくことが必要です。《次号につづく》

年収(2016年) 正規 非正規 年収差
男性 547.5万円 229.4万円 318.1万円
女性 376.6万円 150.8万円 225.8万円
全体 493.7万円 175.1万円 318.6万円

                       ※ 民間給与実態調査より

社会保険労務士がつくる 

労働保険事務組合

うれしい“3つのメリット”

1 労災特別加入

 ★事業主や家族も入れる制度★

2 保険料納付を年3回に分割

3 事務の手間が省ける

 

【特別加入の保険料のあらまし】

①             ②

給付基礎日額 × 365 × 業種別の労災保険料率

↓ 

けがで休業するとき、1日いくらの給付を希望するかを決めます。3500円~25000円の範囲で選べます。

(例)①1万円希望(実際の給付額は1日8千円)

②金属加工業の場合(10/1000)

1万円 × 365 × 10/1000  36,500円

※この他に事務組合会費24,000円(年)+入会金1万円が必要です。

建設業の一人親方(大工・鳶・左官など)も

特別加入できます

労災加入の必要最低額(年)

労災保険料   22,986円

事務組合会費  12,000円

合 計     34,986円

 

【2面】

年金よろず相談 別巻

最近の精神障害の相談から

当事務所のホームページをスマホから見やすくしたことで、個人からの問い合わせが増えています。なかでも多いのが、精神疾患を持つ方からの障害年金受給の相談です。

ほとんどは東大阪市や生駒市など近隣の方ですが、なかには、はるばる沖縄県からの相談もありました。

次の様な傾向が見られます。

一つは、障害年金の対象傷病かどうか判断が難しいことです。精神の障害によって障害年金を受給できる傷病は、①統合失調症②気分(感情)障害(うつなど)③てんかん ④知的障害⑤発達障害とされており、人格障害や神経症は含まれていません。

しかし、「解離性転換性障害」「境界性人格障害」なども対象となりうる傷病です。対象傷病に当たるような症状があれば、年金受給の可能性があるので、医師の診断書が重要になります。

二つは、発症から長年経過している場合が多いことです。

長く治療を受けていても、いっこうに治らない、働けないので生活にも困る、だから何とか障害年金を受けたい…これは、むしろ普通のパターンと考えられます。

三つは、本人よりも親・兄弟、配偶者からの相談が多いことです。

本人は外出はおろか、電話やメールで相談することもままならないこともあるでしょう。また、自分の感情が抑えられない、飲酒や浪費による借金などの問題を抱えていることもあります。

これらの相談に応えられるよう、経験を積み重ねていきたいと思います。

 

だから映画はおもしろい vol.33

こどもしょくどう

(2018.日本)

●子ども食堂はどうやってできたのか?なぜこれほど広まったのか?これからどうなっていくのか?見終った後に様々なことを考えさせられる本作は、「子ども食堂 エピソード・ゼロ」ともいうべき映画です。

●『火垂るの墓』(実写版)の日向寺太郎監督が、子どもの目線で「子どもの貧困」問題を描き、藤本哉汰、鈴木梨央らの子役が自然な演技で応えて現実味を感じさせます。

●東京の下町の小学生ユウトは食堂を営む両親(吉岡秀隆と常盤貴子)、妹の4人で暮らしている。幼なじみのタカシは、母子家庭の母に育児放棄されており、ユウトの両親はタカシのことを心配して食堂で夕食を振舞っていた。ユウトは家では少し「いい気分」だが、学校でいじめられているタカシを助けられず、「見て見ぬふり」をしてしまう。

ある日、ユウトとタカシは、河原で父親と車上生活をしている姉妹に出会う。数日後、姉妹の父親が2人を置いたまま失踪。住まいにしていた車も壊され、行き場を失ってしまった。ここでもユウトの両親は姉妹に食事を提供するが姉妹の問題を解決するための行動にはなかなか立ち上がらない。ユウトが「見て見ぬふり」をしてしまうのは、まわりの大人がいつもそうしているからだった。姉妹が行政に保護された後で、ユウトの両親がついに一歩を踏み出した。

●子ども食堂の始まりは2012年(筆者が社労士を開業した年)。今では市民の手による新しい共同体として全国2,300ヵ所以上に広がっています。様々な課題を抱えながらも希望の光として輝く子ども食堂に期待したいと思います。

 

編集後記

▼「在職老齢年金廃止を検討」と聞いて、「年金が減る」と思った人もいるのでは。ネーミングも含めて、もっとわかりやすい仕組みにできないものか。

▼暑さのために、全国的に運動会の中止・延期・短縮が多発。大人の都合だけでなく、運動会の主役である子どもの立場で考えることが大切になります。