かわちのタイムスNo.14(20150401) ← クリックすると画像が見られます。
【1面】
「トラブル防止が大事」とは云うものの…
こじれた時もご相談を!
かわちの社労士は、4月から特定社会保険労務士に登録。紛争解決手続代理業務に取り組みます。
◆紛争解決とは?
経営者と労働者のトラブルはできるだけ避けたいものです。就業規則などの社内規定を整備することも、トラブル防止に役立ちます。
それでもトラブルが起こり、こじれた場合にはどうするか。
裁判ともなると、途方もなくお金と時間がかかります。
そこで、話し合いによるトラブルの解決をめざすのが、ADR(裁判外紛争解決手続)という制度です。
◆特定社労士が代理人に
特定社労士はADRの代理人として、個別労働関係紛争解決に関わることができます。
経営者または労働者のどちらか一方からの相談を受け、①社労士会労働紛争解決センターでの手続 ②県労働局の行うあっせん・調停の手続 ③県労働委員会のあっせんの手続 ④各々の和解の交渉を代理します。
特定社労士になるには、研修修了と試験合格が条件です。
◆相談者のお役に立ちたい
かわちの社労士は、「町の社長さん」のサポートを生業(なりわい)としています。企業の健全な発展は、労働者の福祉の向上にも通ずると考えます。
しかるに昨今の「ブラック企業」の蔓延は、若者の希望を奪い、日本社会の閉塞感を強めています。悪貨が良貨を駆逐することで経済の発展が阻害されます。メンタルヘルス不調者が増え、少子化の歯止めが効かなくなります。
こんな時代だからこそ、労働者からの相談があれば、その苦しみに心を寄せて、紛争解決に取り組みたいと思うのです。
社会保険労務士法や倫理規定は、紛争の双方の当事者(経営者と労働者)から同時に依頼を受けることを禁じています。
あこぎな商売ではなく、特定社労士の資格を生かして、相談者のお役に立つ仕事がしたいと願っています。
今国会で 労働法はどう変わる?
★ 労働基準法 ★
提出が予定されている改正法案は、①専門業務で年収1075万円以上の労働者の残業代に割増賃金を付けない ②中小企業も月60時間超の残業の割増賃金率は50%以上に(4年後から) ③年次有給休暇の取得促進などです。
☆ 労働者派遣法 ☆
昨年2度廃案になった法案がみたび上程され、「3度めの正直」をめざしています。
①派遣会社の登録はすべて許可制に ②派遣受入期間は「業務ごとに最長3年」→「一人あたり最長3年」に ③専門業務(派遣受入期間制限なし)をなくす、などです。
本 棚
コロナ・ブックス 「山本作兵衛と炭鉱(ヤマ)の記録」(平凡社)
◇坑夫にして絵師・山本作兵衛の記録画はユネスコの世界記憶遺産に登録された。本書は親しい人の手元に残された未登録の59点を収録している。
作兵衛の記録画は『イギリスにおける労働者階級の状態』(エンゲルス著)に出てくる坑内労働の描写とそっくりである。
【2面】
年金よろず相談 壱ノ巻
こすいわあ 在職老齢年金
社 長 わし、61歳の誕生日が来たら年金の一部が請求できるのやけど、65歳からの年金も繰り上げて一緒にもらうのはどうやろか。
社労士 繰り上げると1年につき受け取りが5%減りますから、長生きするほど損になります。長生きして後悔するのはつまらんのと違いますか。
社 長 そん(損)なもんかな。それと、役員報酬もらってると年金減らされるんかな。
社労士 「在職老齢年金」いうんですけど、60歳代前半の人は、年金と月給、賞与の12分の1の合計が28万円を超えたら、年金が減らされます。
社 長 そやから、役員報酬を○万円くらいにしようと思うんやけど。
社労士 年金の額はわかるんですね。ちょっと待って下さいよ。電卓使わな、あきません。おお、ぴったし年金がへつられませんね。
社 長 そやろ、年金の本を買ってきて勉強したからな。
社労士 ・・・ (なんや、試されたみたいや)
社 長 ただ、嫁さんの年金のデータがハガキだけでは見当がつかんのやが。
社労士 奥さんが59歳になられたら、くわしい「年金定期便」が封書で届きます。
社 長 そやったんか。
社労士 何なりと聞いてくださいよ! (ちょっとは面目保てたかな…)
※ このコーナーは、実際に寄せられた相談をモデルにしたフィクションです。
だから映画はおもしろい vol.12
『マリキナ』 (2014年、フィリピン)
- 3月に開かれた第10回大阪アジアン映画祭は今回も盛況でした。秋の大阪ヨーロッパ映画祭が資金難により一昨年の第20回で途切れた一方で、大阪の地の利も生かして、アジアの映画ファンが多数参加する映画祭の発展は、近隣諸国との文化交流の場となっています。
- 映画祭ならではの魅力は、作品ごとに製作者や俳優がゲストで参加し、映画上映と合わせてスピーチやクエスチョン・タイム、サイン会などを楽しめることです。『マリキナ』はフィリピンの靴の産地の地名です。靴職人の父を持つイメルダが主人公と言えば、日本でもマルコス大統領夫人を思い出す人が多いでしょう。驚いたことに、この映画には80歳を超えたイメルダ夫人本人が出演しています。監督は上映後のインタビューで「私がマルコス派だからではなく、マリキナの靴作りを描いた映画だから夫人が出演をOKしてくれました」と語りました。
- 映画は靴職人の父の自殺のシーンから始まります。町で一番の靴職人だった父ですが、愛情の擦れ違いによって妻が去り、娘とも不仲が続いていました。川で発見された遺骸は靴が流されていました。父の葬儀にあたり、縫製会社を経営しているイメルダは、多忙な中、父の遺骸に履かせる靴を仕方なく探し始めます。イメルダの靴はすべて父の手作りでしたが、市販の靴はどれも父の好みと足のサイズに合うものがなく、靴探しは難航します。とうとうマリキナ靴博物館に展示されている、父の作品にたどり着くのでした。経済のグローバル化による地場産業の衰退を感じさせます。家族愛を中心とする愛の在り方、地域の産業と雇用など、いろいろな問題を考えさせられる映画です。
編集後記
▼今年のセンバツから準々決勝の翌日が休養日に。選手の健康を考えると、高校野球も高校ラグビーのように、隔日開催が良いのでは。
▼東大阪市の公立保育所や幼稚園の大半が統廃合となる計画が発表されました。卒園した園がなくなるのは寂しいことです。待機児童解消は大丈夫でしょうか。