かわちのタイムスNo .61(20230201) かわちのタイムスNo.61特集ページ(20230201) ← クリックすると画像が見られます
【1面】
どうする労災
よくある事例は? 複数事業労働者とは?
◆労災事故の特徴を考える
「最近やたらと労災が多いなあ」と感じたことから、ここ1年の労災保険請求を集計して、特徴を調べました。
①12件のうち、業務上の災害は10件、通勤災害は2件。
②業種別では建設業が6件、製造販売・サービスが2件、介護・運送が1件。③入院した事故は7件、通院が5件。
④発生理由は建設業の三大災害(転落・墜落、倒壊、重機と接触)、介護中の転倒、トラック荷台からの転落など。
⑤業務災害は、「ヒューマンエラー」にあたる災害が大半で今後の事故防止につなげることが大切です。
◆複数事業労働者に気を付けて
兼業している労働者が労災事故で休業する場合は、賃金を合算することになるので、注意が必要です。
ここ1年で12件の労災事故発生!
(当事務所が労災保険請求した事故)
製造販売 | 業務災害 | 足の軟骨損傷(運搬) |
サービス | 業務災害 | 足の骨折(着地失敗) |
建設・斫り | 業務災害 | 下敷き(壁の倒壊) |
建設・解体 | 業務災害 | 眼のケガ(解体物飛来) |
建設・解体 | 業務災害 | 足の骨折(転落) |
製造販売 | 通勤災害 | 打撲(交通・自損事故) |
建設・解体 | 業務災害 | 足の骨折(重機と接触) |
サービス | 通勤災害 | ムチ打ち(交通事故) |
建設・解体 | 業務災害 | 足の骨折(重機と接触) |
介 護 | 業務災害 | 足の捻挫(転倒) |
運 送 | 業務災害 | 背中の打撲(転落) |
建設・造園 | 建設災害 | 手のケガ(のこぎり) |
複数事業労働者が労災で休業した場合の労災保険請求(令和2年9月1日より)
★A社(月給20万円)B社(月給10万円)で働くCさんがA社で労災事故に会い1ヵ月休業
【以前は】 【今では】
・A社の労災保険番号を使い、 ・A社の労災保険番号、A社の休業証明だけでなく
A社の休業証明を受ける B社の労災保険番号、B社の休業証明も必要
・給付額は20万円×8割=16万円 ・給付額は(20万円+10万円)×8割=24万円
今 年 の テ ー マ
中小企業のサポート と 働く者の安全衛生 「二兎を追う」一年に
【4面】
「働き方改革」問答 ①
残業代が5割増しになる?
社 長 前に「残業代の計算が変わる」とか言ってなかったっけ。
社労士 4年間の猶予が終わり、4月から変わります。
社 長 それは早く言ってほしいものやね。
社労士 ショックを受けられると思って。中小企業の割増賃金率が下表のように変わります。
社 長 60時間がポイントか。うちは毎日2時間程度の残業はあるけど、大丈夫や。
社労士 2時間×22日=44時間。土曜出勤が3日として8時間×3日=24時間。合計で60時間を超えるのでは?
社 長 そうか。残業時間を減らすことを考えなあかんと言うことか。そもそも、この改正?はいつ決まったんや。
社労士 中小企業の割増率は平成30年「働き方改革関連法」ですが、「今は昔」の感がありますからね。中小企業と大企業の基準を同じにするのは、かなり無理があります。
社 長 そら、そうよ。それなら「アレ」(税制?)も大企業並みに優遇してほしいわ。
社労士 割増賃金だけに「割とまし」なご意見ですね。
中小企業の割増賃金率を引き上げ!
1ヵ月間の時間外労働と賃金の割増率
(1日8時間・1週40時間を超える労働時間)
60時間以下 | 60時間超 | |
大企業 | 25% | 50% |
中小企業 | 25% | 25% → 50% |
だから映画はおもしろい vol.51
ラーゲリより愛を込めて
(2022年、日本)
●本作は実話にもとづく「フィクション」ですが、「シベリア抑留」問題を掘り起こし、後世に語り継ぐ上で、重要な役割を果たしていると思います。現在、好評上映中なので、ストーリーには触れません。
●抑留された人々が最後に帰還したのは昭和32年。筆者が生まれる1年余り前のことでした。子どもの頃は周囲に抑留経験者がいましたし、中小業者団体で働くようになってからは年配の会員さんから、強制労働の体験を聞く機会があり、「シベリア抑留展」に参加したこともあります。
●過去には五味川純平原作、小林正樹監督・仲代達也主演の『人間の条件』が有名で、全3作9時間半を1日で鑑賞したことが思い出されます。本作はそれ以来の本格的な「シベリア抑留・強制労働」をテーマとした映画です。
●かって、第2次世界大戦の全体像をファシズムの侵略戦争、社会主義の祖国防衛戦争などの要素に分けて考える論調がありました。しかし、スターリンによる「シベリア抑留」は国際法違反の領土拡張主義による蛮行に過ぎず、現在のロシアによるウクライナ侵略につながるものです。
●本作は人気タレント・二宮和也の主演もあり、映画館には多くの若者が足を運んでいます。『硫黄島からの手紙』『母と暮らせば』にも出演した二宮の熱演が光ります。
昨年末にタモリが語ったように今年が「新しい戦前」にならないように。「大軍拡」よりも戦争体験を伝える文化・芸術振興にもう少し予算を使えないものでしょうか。
編集後記
▼5周年記念号の「いろはかるた」の様な「ひねり」はありませんが。オーソドックスに10年を振り返る特集記事としました。
▼コロナも収まっていないのに、物価高騰による仕入・経費増、雇用調整助成金も打切り予定と、中小企業には厳しい冬が続きます。せめて負担増になる法律の施行日の延期など考えてほしいものです。
【2・3面 特集ページ】
かわちのタイムス10周年記念企画
★10年間・60号の「編集後記」から厳選しました!
「編集後記」で振り返る10年
2013年~2022年の「世相」と「かわちの社労士」
2013年
第1号 (2月1日)
▼「かわちのタイムス」創刊号をお届けします。この小さな「新聞」が当事務所と皆様を結ぶ「血管」となり、「ヘモグロビン」(肺から全身へと酸素を運ぶ物質…仁鶴師匠のギャグ)となりますように。
※今は亡き笑福亭仁鶴師匠に合掌
第5号 (10月1日)
▼「そのうち日本でもコーヒーが栽培されるかもしれない」と喫茶店のマスターの弁。ホームページにも書きましたが、「ゲリラ豪雨」に悩まされた今年の夏でした。
※自宅が二度の床下浸水。市役所から土嚢を借りて対策
第6号 (12月1日)
▼「それは秘密です」は、泣きの小金治が懐かしい。が、「何が秘密かは秘密」とはかなり怖い。戦前の国防保安法に瓜二つと言われる「秘密保護法」制定をなぜ急ぐのでしょうか。
※「アフタヌーンショー」の司会では「怒りの小金治」。桂小金治師匠にも合掌
2014年
第8号 (4月1日)
▼2月の記録的な大雪では、除雪車などの重機の備えのない地域の復旧が大きく遅れました。建設業者の存在の大きさを実感した冬でした。
※ソチ五輪スノーボード競技場設営でも重機が活躍
第9号 (6月1日)
▼「過労死等防止対策推進法案」が成立へ。「働いて死ぬなんておかしい!」という遺族の訴えを誰も否定することはできません。
第11号(10月1日)
▼小学校4年生のときに読んだ「赤毛のアン」。日本語版が世に出て16年後のことでした。訳者が戦火をくぐって命がけで翻訳されたことを知り、感激しました。
※朝ドラ「花子とアン」から
第12号(12月1日)
▼最近、将棋界では「人間ならこう指す」の言い回しが流行。年々進化するコンピューターに負けたとて、人間臭い、人間ならではの闘いが盤則を熱くさせるのでしょう。
※AI評価値は面白い
2015年
第14号 (4月1日)
▼東大阪市の公立保育所や幼稚園の大半が統廃合となる計画が発表されました。卒園した園がなくなるのは寂しいことです。待機児童解消は大丈夫でしょうか。
第15号 (6月1日)
▼日当たりの良い事務所の夏は、かなり暑苦しい。「西日さす 九尺二間に ふとっちょの背中(せな)で子が泣く
飯(まま)が焦げつく」〔太田蜀山人〕
※前年末に新事務所へ
第16号 (8月1日)
▼3ヵ月の国会会期延長にもかかわらず、労基法改正は見送りか。年金機構の情報流出の影響もあったが、安保法制成立のためなら、「他は目をつぶる」というのが政府の本音でしょう。
第17号 (10月1日)
▼元ラガーの体験からも、ラグビーは「もっとも番狂わせが起こりにくいスポーツ」です。南アフリカ戦の快挙が「まぐれ」と言われないように、日本代表のさらなる奮闘を期待します。
※ジャイキリから始まった
2016年
第19号 (2月1日)
▼「男子三日会わざれば刮目して見よ」。大関カド番常連の琴奨菊関の予想外の快進撃でした。不断の鍛錬があってこそですが、メンタルケアの大切さを再認識しました。
第20号 (4月1日)
▼年度末、テレビ各局のニュース・キャスターが相次いで降板しました。新編成になっても報道内容が「萎縮」しないことを望みます。『かわちのタイムス』は、今後も「自然体」で話題を提供していきたいと思います。
※古館さん・国谷さん・岸井さん・膳場さん
第22号 (8月1日)
▼日曜日の朝、ジョギングのコースで、スマホを手に探索している人を何人も見かけました。炎天下に無帽(無謀)で、まさに「熱中症」が心配です。スマホがなくてホッとしています。
※ポケモンGOのブーム
第24号 (12月1日)
▼トランプならぬジョーカーを引いた?何故そこまで行ってしまう?「強いアメリカ」願望は、日本の閉塞感に通底するものなのか?
2017年
第25号 (2月1日)
▼小田原市の職員が「生活保護なめんなよ」の文字入りのジャンパーを着用して受給者宅を訪問。「なにさらしてけつかる」と上品な大阪弁で応じたくなります。
第26号 (4月1日)
▼まだまだ続く?「トンデモ学園」騒動。登場人物は主演(理事長)・助演(夫人・大臣)ともにN会議のメンバーです。愛国主義も過ぎれば国有地の「8億円値引き」になるのでしょうか。
▼そんな中、センバツ高校野球決勝の「大阪対決」は大熱戦でした。良い意味で目立つ大阪であってほしいと願うのが「郷土愛」です。
※大阪桐蔭VS履正社
第30号 (12月1日)
▼子どもの頃、ケンカが起こると「ケンカはおよし、相撲はお取り」と声を掛け合ったものでした。横綱のケンカ(暴力)は引退しても消し去ることはできません。
※日馬富士が暴行で引退。「無理偏にげんこつ」と書いて「兄弟子」と読ませる角界の体質は変わったのか
2018年
第34号 (8月1日)
▼大阪府北部地震、西日本豪雨災害、記録的猛暑、逆走台風と自然の猛威が続く今夏。ただし、地震以外は人災の側面が強く、毎年発生する危険性が否めません。
※七夕の前日に起こった西日本豪雨
第35号 (10月1日)
▼年金引下げ、生活保護基準引下げ。社会保険労務士として「社会保障法」を守るのは当然ですが、「社会保障」をどう守るかが大切になっていると感じます。
※生活保護引下げ違憲訴訟は21年に大阪地裁で初の原告側勝訴、その後は熊本・東京・横浜地裁でも勝訴
第36号 (12月1日)
▼「移民は受け入れられないが、外国人労働者は増やしたい」。言い逃れはもうたくさんです。間に合わせではなく、しっかり論議しないと禍根を残すことに。
※「入管法改正」の再改正案が今国会に再提出されそう。問題山積に変わりなし
2019年
第37号 (2月1日)
▼事務所移転を機に、宣伝を強化。遅ればせながら、ホームページ・名刺を新調し、窓にはシール看板を。新「3つのモットー」も発表、くわしくはウェブで!
※やはり前年末に新事務所へ。2度目めの移転
第38号 (4月1日)
▼「菓子袋に金貨」とは、
まるで時代劇です。「原発マネー」は、原発がある限りつきまとうものなのか。「クリーンに 人の心も 汚染する」(川柳のつもり)
※関電幹部が高浜原発めぐり3億円受領
▼奇しくも?「昭和」と「平成」を30年ずつ生き、「令和」を迎えることに。お祝いムードより、目前に迫った10連休をどう乗り切るかが当面の関心事です。
※前年の同窓会で話題に。皆が同い年なので
第41号 (10月1日)
▼ラグビーのルールを知っていることが、これほど役立つ日がくるとは。世界中のラグビーファンを身近に感じる日々。11月2日の決勝戦まで、目が離せません。
※今度は実力+「ワンチーム」で8強に
2020年
第43号 (2月1日)
▼コンビニの24時間営業問題は、元日休業の是非をめぐって、より鮮明になっています。働く人の健康を守るための「働き方改革」に逆行する動きは見過ごすことができません。
※セブンイレブン・松本裁判を支援しています
第44号 (4月1日)
▼森友疑惑で自殺した赤木さんの裁判が始まります。二人の代理人は過労死問題の研究会の講師として親交のある弁護士さんです。赤木さんの無念を晴らしてもらいたいと思います。
※1億円払ってでも国が隠したかったものは何か
第48号 (12月1日)
▼近頃「ようつうトラブル」に悩まされています。このニュースも立ったり座ったりを繰返しながら執筆しました。健康のありがたさを感じる年齢になったということです。
※「ゴーツートラベル」ならぬ「腰痛トラブル」
2021年
第49号 (2月1日)
▼新設の「大学入学共通テスト」は「マスク騒動」を除いて無事行われたようです。「共通一次テスト」のなかった世代としては、受験生の健闘を祈るばかりです。
第50号 (4月1日)
▼コロナ禍で介護関係者が、時短協力のお店が苦しんでいる最中に。模範となるべき厚生労働省介護課職員たちの「深夜の大人数会食」は到底許せるものではありません。
第51号 (6月1日)
▼当事務所の関与先にはエッセンシャルワーカーが多く、リモートでの働き方ができないことを実感します。現場で働く人が尊敬され、感謝される社会であってほしいです。
第54号 (12月1日)
▼「待てば甘露の日和あり」とはいうものの、社労士試験の発表までの2か月半は長すぎると思います。当事務所も来年で10年め。これからですので、よろしく。
※複数(親子)社労士が実現しました
2022年
第55号 (2月1日)
▼社労士開業のための予備校に通った日から、早幾年。今度は講師として関わることに。理論と経験に裏打ちされた実務を語るのが目標です。
※幾つになっても日々是勉強
第56号 (4月1日)
▼ロシアのウクライナへの侵略が長期化し、停戦を訴える世論が高まっています。戦争反対、平和でこそ営業発展、社労士の仕事もできます。
第59号 (10月1日)
▼9月は二つの国葬がありました。国民が弔意を持って長蛇の列をなした英国と、国民の半数の反対を押し切って挙行した日本。対照的でした。
第60号 (12月1日)
▼一つのボールでつながる仲間意識が政治対立や、民族・人種などの違いを超えて、サポーター同士の連帯の輪を広げていく。サッカーワールドカップの変わらぬ魅力です。