かわちのタイムスNo.51(20210601) ← クリックすると画像が見られます
【1面】
職業紹介責任者講習
講師 はじめました
◆1日がかりの法定講習
5月から「職業紹介責任者講習」の講師を務めることになりました。
開業以来続けている「派遣元責任者講習」と同じ講習機関による法定講習です。
会場は、いつものグランフロント。この日は「緊急事態宣言」中でビル内の飲食店フロアは休業、人影もまばらでした。
朝10時から正味6時間の講習で、分厚いテキストを使います。連休中から準備して臨みました。
◆毎年事業報告が求められる
この講習は許可更新の要件になっているため、職業紹介事業を営んでいる全事業所の責任者が受講しなければなりません。
職業紹介事業と労働者派遣事業の両方を行う会社では、派遣の講習(3年ごと)、職業紹介の講習(5年ごと)を受講することになります。
許可(更新)申請だけでなく、毎年度の報告が求められます(下表参照)。
無料の職業紹介(公共職業安定所=ハローワーク)を国が独占していた時代から、徐々に有料の民間職業紹介が拡大し、現在は原則自由(禁止は建設業・港湾運送業だけ)に規制緩和され、許可制になりました。労働者派遣事業(昭和60年制定)とほぼ同じ歩みです。
許可更新などのご相談はかわちの社労士へ。
≪派遣業・職業紹介業の許可更新・報告一覧≫
労働者派遣 | 職業紹介 | |
許可更新 | 5年ごとに更新(1期目3年) | 5年ごとに更新(1期目3年) |
年次報告
(期限) |
①事業報告(6月30日)
②収支決算書・関係派遣先割合報告 (事業年度終了後 3ヵ月以内) |
事業報告(4月30日) |
どこまで使える?
雇用調整助成金 実践的Q&A③
Q1.「特例措置」はいつまで使えますか?
A1.緊急事態宣言が6月20日まで延長されたので、翌月の7月末までは現行の「特例措置」が使えます。
Q2.その後はどうなるのでしょうか?
A2.厚生労働省は緊急事態宣言の様子見を決め込んでいるように感じられます。8月以降のことはまだ発表されていません。
Q3.当社は休業手当を支給したものの、雇調金を申請していません。どこまで遡れますか?
A3.給与支給日から2ヵ月以内に3ヵ月連続で申請できます。
例)末日締め翌月15日支給の会社の場合は、6月15日までに1・2・3月分の申請が可能
Q4.雇用維持に役立っているのですね?
A4.業種にもよりますが、雇調金によって失業者の増加に歯止めが掛けられています。当事務所でも毎月十数社の申請を継続しています。
【雇用調整助成金の申請状況Ⅵ】
全 国 | ~3月26日 | ~5月28日 |
申請件数 | 3,029,163 | 3,643,821 |
決定件数 | 2,932,815 | 3,501,058 |
決定額 | 3兆1,272億円 | 3兆6,013億円 |
当事務所 | ~3月26日 | ~5月28日 |
申請件数 | 166 | 198 |
決定件数 | 127 | 162 |
【2面】
コロナで従業員が休んだら…
―あわてず対応するために
コロナの変異株が広がり、特に大阪では深刻な状況がつづいています。
連休前後から「従業員がコロナにかかった。休みをどう扱えばよいか」という相談が相次ぎました。
介護事業所の労働者など、避けられない事態になっている中での対応を考えます。
【1 休んだ日の扱い】
①有給休暇を取得する②会社の定める特別休暇を与える③欠勤にするのいずれかです。
「自粛要請」に応えて会社が休業を決めた場合と違って、「病気」なので欠勤扱いにしてもよいのですが、労使で話し合うなど柔軟に対応するのが望ましいでしょう。
【2 傷病手当金の利用】
健康保険(協会けんぽ)加入者は、休業4日めから「傷病手当金」(給与の2/3)が受けられます。申請には「医療機関の証明」が必要ですが、医師の証明がないときは保健所の「就業制限解除通知書」でよいなど、簡略化されています。
コロナ感染特例により、社会保険加入者だけでなく、国保でも「傷病手当金」を受給できます。ただし、「PCR検査の陽性の証明」が必要など、手続きがやや難しいようです。
【3 まとめ】
1・2を合わせて、例えば14日間休んだ場合は、最初の3日間は有給休暇を取得(残日数がないときは相談)し、残る11日間は傷病手当金を申請するというところです。
傷病手当金は賃金が支払われている日には受けられず、給与計算終了後に申請します。あらかじめ社内のルールを決めておくと、あわてず対応できるでしょう。
だから映画はおもしろい vol.43
海辺の彼女たち
(2020年、日本=ベトナム)
●コロナ禍で「日本に来たくても来られない」「帰りたくても帰れない」外国人労働者の問題が切実です。「何が問題なのか」「どうすればよいのか」を深く考えさせられる映画です。
●技能実習生として来日した若きベトナム人女性のアンとニューとフォンはある夜、最低賃金以下で働かされていた工場から脱走しました。転職を斡旋するブローカー(世話役もベトナム人)を便りに、辿り着いた場所は雪深い港町(青森県らしい)。不法滞在を覚悟で、故郷にいる家族のために、水産業の作業場で懸命に働き始める。その矢先にフォンが体調を壊し倒れてしまう。アンとニューは満足に仕事ができないフォンを心配して、身分証が無いままに病院に連れて行くが…。
●本作は、前作で在日ミャンマー人の移民問題を描いた藤元明緒監督が実際に技能実習生から受け取ったSOSメールをきっかけにして着想されました。
役者の熱演もあって、ドキュメンタリーなのかフィクションなのか区別がつかないほど臨場感溢れる映画です。見終わって、どこまでも救われない思いも残りました。
●「入国管理法改正案」は世論の強い反対の前に、国会に出される前に廃案になりました。
スリランカ女性の死など、多くの犠牲が出なければ問題にならない。「外国人に人権はない」という感覚こそ恐怖です。
世界第4位の移民大国?でありながら、「移民は認めない」「難民は認定しない」。しかし「外国人の労働力はぜひとも必要」。こんな虫のいい話がいつまで通用するでしょうか。
編集後記
▼当事務所の関与先にはエッセンシャルワーカーが多く、リモートでの働き方ができないことを実感します。現場で働く人が尊敬され、感謝される社会であってほしいです。
▼こんなに早い梅雨入りは記憶にないと思ったら、近畿では統計史上(昭和26年以降)最速だとか。電動アシスト自転車での通勤・移動の雨対策に悩む季節です。