近年、リモートワークやフレックスタイム制度の導入が進み、働き方が多様化しています。自宅で仕事をすることが一般的になった一方で、リモートワーク中に事故やケガが発生した場合、労災保険の適用はどのような取扱いになるのでしょうか。
今回は、リモートワークにおける労災保険適用について、わかりやすく解説します。
リモートワークにおける労災保険の基本
まず「労災保険」とは、仕事中や通勤中の事故・ケガに対して支給される保険です。
通常、労災保険は企業が全従業員に対して加入し、業務上の事故に対して保障を行います。従来、労災保険は「業務災害」「通勤災害」として、企業の事務所や現場などで発生した事故が対象となります。
しかし、リモートワークの場合、仕事の場所が自宅などのプライベート空間に変わるため、「自宅での仕事も労災保険の対象となるのか?」という疑問が生じます。
リモートワーク中の事故は労災保険の対象になる?
結論から言うと、リモートワーク中でも、業務に起因する事故やケガであれば、労災保険の対象になります。
就業時間中の事故
リモートワーク中でも、就業時間内に事故が発生した場合は労災の対象になります。
例えば、リモートワーク中に自宅でパソコンを操作している際に手をケガしたなどの事例が労災として認められる場合があります。
業務用の設備や道具による事故
自宅で業務用のパソコンや事務機器を使っている場合、これらが原因でケガをした場合は労災として認められることがあります。
例えば、業務用の重い物を持ち上げている最中に腰を痛めた場合などです。
労災保険の適用範囲外となるケース
リモートワーク中でも、全ての事故が労災保険の対象となるわけではありません。
例えば、以下のようなケースは適用外です。
プライベートな時間帯の事故
就業時間外に自宅で発生した事故(家事や趣味などに関連するもの)は、原則として労災保険の対象外です。
例えば、就業後にリビングでテレビを見ていてケガをした場合などです。
業務と無関係な事故
仕事とは関係のない活動中に発生した事故も労災には該当しません。
例えば、業務時間内にウォーキングや買い物に出かけてケガをした場合などです。
企業の対応と注意点
リモートワークを導入している企業は、労災保険が適用される条件や手続きについて、従業員にしっかりと説明しておくことが重要です。
また、リモートワーク環境での安全対策も必要です。
例えば、作業スペースの整備や適切な椅子・机の配置など、業務中に事故を防ぐための取り組みを行うことが推奨されます。
企業側は、リモートワーク中に発生した事故に関して、迅速に報告し、必要な手続きを行うことが求められます。
また、事故が業務に起因するものであるかを適切に判断し、労災保険が適用される場合は、適切な補償が行われるよう手配をする必要があります。
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リモートワークが普及する中で、労災保険の適用範囲も変化しています。
企業と従業員の双方が、リモートワーク中の労災保険に関するルールや手続きを理解し、安全な働き方を心がけることが重要です。
リモートワークでも、万が一の事故に備えるために労災保険の適用範囲をしっかりと把握しておきましょう。