労災保険とは、業務中や通勤中のケガや病気に対して必要な給付を行う制度。
労働者が災害によって働くことができない期間、労災保険制度を活用し、治療や復帰を支援することを目的としています。
事業主には労災保険料の負担義務があるので、労働者は安心して働ける環境を得ることができます。
また、災害発生を防ぐための事前対策や啓発活動も含まれており、労災保険は労働者の安全を総合的に守る役割を果たしています。

労働災害の種類

では、労災保険制度における「労働災害」にはどのような種類があるのでしょうか。

労災① 業務災害

業務災害は、労働者が業務や施設・設備に起因して傷病を受け、以下の要件を満たす場合に労災認定の対象となります。

業務遂行性:社内や社外で業務中、または業務外でも事業主の管理下にあったか
業務起因性:発生した傷病や事故が業務と因果関係があるか

労災認定となる具体例は以下のような場合です。
●過重労働が原因でうつ病を発症
●高所作業中に転落して負傷

労災② 複数業務要因災害

複数業務要因災害は、複数の職場で行われた業務が原因となり発症する傷病を指します。
通常、脳・心臓疾患や精神障害が該当します。

具体的には、
●平日はA社、週末はB社で休みなく働き、両方の職場での業務が忙しく、精神的ストレスが重なった結果、うつ病を発症
このようなケースが、労災認定の対象となります。

労災③ 通勤災害

通勤災害は、通勤や帰宅途中に発生した傷病を対象にします。
ただし、通勤経路が不適切だった場合や、途中で中断した場合は対象外。
通勤経路上での軽微な行動(買い物やトイレ休憩など)は逸脱や中断には該当しません。

以下のようなケースが、労災認定対象に当てはまります。
●通勤中、駅の階段で転倒して骨折
●電車やバスの急ブレーキで転倒して負傷
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以上が、労災保険制度における「労働災害」の種類です。
労災保険は、労働者の健康や安全を守るための重要な保護制度。
万が一、これらの要件に合致する災害が発生した場合は、労災保険申請の手続きを迅速に行うことが大切です。