働く人々が失業したり、育児や介護のために休業したりする場合、生活や雇用の安定を図るための公的保険を「雇用保険」といいます。
企業に所属していて一定の条件を満たす従業員は、必ず雇用保険に加入する必要があり、失業等給付や育児休業給付など、様々な給付金を受け取ることができます。

今回は、基本的な雇用保険のしくみや加入条件などについてご説明します。

雇用保険の目的

雇用保険の目的とは、失業した時の再就職だけではなく、育児や介護、定年後の再雇用などによって収入が減るなどした場合の労働者に対する生活維持を支援すること。

雇用保険に加入していることで、条件を満たせば「失業手当」や「高年齢雇用継続基本給付金」「育児休業給付金」「介護休業給付金」などの給付を受けることができます。
また、労働者が能力開発やキャリアアップを目的とした教育訓練を受けた場合、「教育訓練給付金」を受けることもできます。

雇用保険の加入条件

雇用保険は、従業員を雇用するすべての事業者が対象です。
事業所の規模にかかわらず、以下の条件を満たしていれば加入対象となります。

・週20時間以上労働していること
・31日以上の雇用見込みがあること
・学生ではないこと

これらの条件を満たしていれば雇用保険加入対象となり、雇用保険料を給与から天引きされる形で毎月支払うことになります。

雇用保険の主な給付金

「雇用保険」と聞くと、失業した際に次の仕事が見つかるまでにもらえる失業給付を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は雇用保険の補償範囲はとても広く、様々な給付手当を受けることができます。
ここではよく耳にする主な給付についてご紹介します。

基本手当

一般的に「失業手当」や「失業保険」と言われるものが、基本手当。
失業した人が、次に就職するまでの生活保障として支給されます。

育児休業給付

一定要件を満たした被保険者が、育児休業を取得した際に支給される給付金。
原則として子どもが1歳になるまで支給されますが、父母ともに育休を取得する場合は1歳2ヶ月になるまで支給されます。(「保育所に入所できない」などの理由がある場合は最長2歳まで)
支給額は、育休開始から180日間は賃金日額の67%、180日経過後は50%支給されます。

介護休業給付

一定要件を満たした被保険者が、家族の介護目的で休業した場合に支給される給付金。
介護休業中に賃金の67%が支給されます。(同じ家族に対して3回あわせて93日まで)

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私たちの生活と雇用継続を保障してくれる「雇用保険」について簡単にまとめてみました。
「雇用保険」に加入していれば、失業した時や、休職した時にも給付を受けることができます。
もし給付が必要になった場合は、まずは社労士に相談!
適切な手続きで、雇用保険制度を安心して活用しましょう。