業務中や通勤途中の病気やケガを「労災」と呼び、労働者は労災保険から様々な補償を受けることができます。
労災が認定されるかどうかの判定は、労災の管轄である労働基準監督署が行いますが、調査の結果、労災の認定を受けることができないケースもあります。

では労災が認められないケースとはいったいどのような場合なのでしょうか。

労災認定されないケース

労災に該当するような病気やケガをした場合、労働者は労災保険から様々な補償を受けることができますが、一方で申請が認められないケースもあります。
実際に申請のあったものの中から、労災と認定されなかった事例をご紹介します。

・業務中、故意にいたずらをし、それが原因となってケガをした
・労働者自ら、故意にケガをした
・休憩時間中、キャッチボールや筋トレをしていたときに負傷した
・帰宅途中に立ち寄った居酒屋で飲酒し、酔って転倒し負傷した
・業務中、個人的なトラブルが原因で同僚と喧嘩し、ケガをした

労災が認められない理由は、「労災認定の基準を満たしていない」から。
上記のようなケースに当てはまると、労災不支給決定となり、労災給付は受け取ることができません。

労災認定されなかった場合

労災の申請をしても認定されなかった場合、労働者は以下のような対応を取ることが可能です。

審査請求

労災不支給決定の結果に不服がある場合は、審査請求という手続きをとり決定内容を争うことができます。
都道府県労働局に結果の取り消しを求める審査を請求します。

再審査請求

上記の審査請求の結果にも不服がある場合は、再審査請求の手続きが可能です。
不服審査を担当する東京の労働保険審査会に対し、決定の取り消しを求める請求をします。

取消訴訟

労働保険審査会の決定にも不服がある場合は、裁判所に取消訴訟を起こすことができます。
取消訴訟とは、労働基準監督署長の不支給決定を取り消すよう求める裁判です。
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労災の認定がされなかった場合の医療費等の支払は、労災保険ではなく健康保険を利用することになります。
万が一、申請に対し労災認定されず、決定に不服がある場合は上記のような申し立てをすることが可能です。
しかし難しい交渉など個人で行うことが困難な場合もあるため、適切な申請を進めるためにも、まずは社労士に連絡し専門的なサポートを受けると安心ですね。