かわちのタイムスNo.70(240801) ← クリックすると画像が見られます。

【1面】

雇用に関わる法改正つづく

雇用保険の拡大でどうなる?

▶実施は4年後(令和10年)◀

6月に閉会した通常国会では、雇用に関係する法律の改正がつづきました。

▽雇用保険法 ▽育児介護・休業法 ▽子ども・子育て支援法 ▽外国人「育成就労制度」。

雇用をめぐる大きな転換となるかどうかを考えます。

◆週10時間で雇用保険加入

雇用保険は週20時間以上勤務の条件を週10時間以上に引き下げて、当てはまる労働者の範囲を広げます。4年後の令和10年10月から施行されます。

これにより、非正規労働者の加入が増えますが、労働者の権利拡大というよりも、転職や兼業をやりやすくすることが目的のように思えます。

4年後の雇用保険料は不明ですが、労働者にとってはそれほど大きな負担にはなりません。中小企業にとっては、保険料だけでなく、手続きの増加が負担になるでしょう。

◆技能実習から育成就労へ

外国人難民の人権問題が問われた出入国管理法改正により、「育成就労制度」が令和9年6月までに創設されます。これまでの技能実習制度と違って、「転籍の自由」を認めていますが、日本語・技能要件などが厳しく、「看板を替えただけ」になりかねません。これまで同様、「特定技能1号」の在留資格につなげるため、人材を育成するための制度といえそうです。

また、育成就労制度も特定技能1号も家族の帯同ができず、「出稼ぎ」状態であることも変わりません。外国人の労働力を期待するなら、人権保障の観点が欠かせません。

 

かわちの社労士事務所は従業員の健康に

配慮する「健康経営」を進めます

●「健康宣言」は協会けんぽ大阪支部にエントリーシートを送ることから始まります。

社員の健診受診率100%など4つの必須項目と14の選択項目から1つ以上を選択して取り組むことを宣言し、FAX送信。協会けんぽから「健康宣言の証」(下記)が届きます。

●「健康経営優良法人」の認定をめざし、取り組みを進めます。

 

【2面】

「気になる」ニュース問答②

「カスハラ」で労災認定

相談者 2年前から「うつ」にかかり、障害年金を受けたいのですが。

社労士 当時は勤務されていたのですね。発病のきっかけは何ですか。

相談者 携帯ショップで非正規で働いていたのですが、2店めのときに、顧客からの苦情が激しくて。「カスタマーハラスメント」(顧客による迷惑行為)ではないかと同僚や上司に相談しましたが、何の対応もありませんでした。

社労士 クレームは決まった人からでしたか。

相談者 それが、入れ替わり立ち替わりで。土地柄があると思います。

社労士 それよりも店舗の対応方針が問題ですね。

相談者 会社が取り合ってくれないので、自力で労災保険請求をしたのですが、不支給になりました。あきらめず、審査請求を行っています。

社労士 厚労省の発表(今年6月)によると、精神障害の労災認定は5年連続で過去最多を更新。カスハラも52件が認定されています。「過労死防止対策大綱」にもカスハラについて「業種別の対策取り組み支援を行なう」とされています。

相談者 国が決めたとしても会社が従うかどうかですね。

社労士 仰る通りです。障害年金の申請だけでなく、労災保険請求も支援します。病気で苦しんできたあなたの無念をハラス(晴らす)ために。

 

文楽(人形浄瑠璃) だからおもしろい vol.12 

  女殺油地獄 (おんなころしあぶらのじごく)

                       (国立文楽劇場)

●近松門左衛門の「世話もの」(庶民が主人公の話)。1721年の初演の2ヵ月前に起こった事件がモデルで、かなり有名な事件だったそうです。テレビドラマや映画にもなっていますし、文楽・歌舞伎は頻繁に上演されています。

●「若者の衝動的な殺人を描いた異色作」といわれる作品です。23歳の青年・河内屋与兵衛はとんでもない放蕩息子で、次々と喧嘩や借金のトラブルを起こします。与兵衛の抑えられない苛立ちの背景には、家庭の事情もあって甘やかし過ぎた両親によってわがままに育てられた境遇がありました。

●与兵衛を勘当して追い出した両親が別々に同業の油屋のおかみ・お吉を訪ね、「息子が来たら渡してやってほしい」とお金や粽(ちまき)を持ってきて鉢合わせしてしまう場面は「親馬鹿」以外の何物でもないのですが、親の愛情はひしひしと伝わってきます。その遣り取りを陰で聞いていたにもかかわらず、お吉から金を奪おうとした与兵衛は売物の油まみれになりながらお吉を殺してしまいます。凄惨さをそれほど感じないのが人形浄瑠璃のよさでもあります。

●ここで上演が終わったので、後味の悪さが残りました。三段目の最後は与兵衛の悪事が露見して捕えられるという筋書ですが、時間の関係なのか、その場面はカットされていて、少々残念な気持ちになりました。

●一段目に出てくる徳庵堤は筆者の実家から近く、野崎参りは小学生のころに家族で行った思い出があります。今は亡き両親のこと、子どものこと、世代の違う若者のことなどいろいろと考えさせられた観賞でした。

 

編集後記

▼自治会のとりくみで神社の夏祭りに参加。ジュース売りをしました。娘の旧クラスメートなど若者や子どもたちがお神輿に汗を流し、熱帯夜でも元気一杯でした。

▼ホームページのリニューアルで事務所風景などをアップしました。かわちのタイムスも70号。今後もローカルでホットな話題を届けます。