かわちのタイムスNo.26(20170401) ← クリックすると画像が見られます。
【1面】
いまどきの 就業規則 改正事情
このところ、多くの会社様から就業規則改正の相談・依頼が寄せられています。
実際に寄せられている事例は次のとおりです。
◆法改正、労基署の指導など
・労働者派遣法の改正により、派遣期間制限のない専門業務が廃止されたため、派遣労働者を無期雇用に転換する。
・労基署から定期監督(呼び出し)の連絡があり、15年ぶりに改定する。
・退職労働者から労基署に「申告」があり、退職金規定等の改定が必要になった。
・営業職の労働時間管理、「みなし労働時間」が不明確。
・「営業手当」と「みなし残業代」の区別がつかなくなっているので整備したい。
◆介護事業所・保育園の届出
・介護職員処遇改善加算が拡充され、新加算Iの届出に就業規則・賃金規定が必要に。
・介護職員処遇改善加算を新規で届出するため、就業規則(または雇用契約書)が必要。
・小規模保育所の監査で指摘された課題を就業規則に新たに盛り込む。
◆雇用保険助成金受給のため
・キャリアアップ助成金(正社員化コースなど)の申請。
・職場定着支援助成金の申請。
・キャリア形成促進助成金の計画届など。
★就業規則の作成・届出が義務付けられている会社は、従業員数が10名以上(パート、アルバイト、派遣中の社員も含む)の事業所です。
ただし、従業員が10名未満でも、必要になる場合が多いのです。
当事務所の「今年のテーマ」実践紹介
セキュリティ(情報保護・災害対策)
1.インターネット上のサーバーを利用
2台のパソコンのデータ共有、パソコン故障や災害時のバックアップが可能に。
2.マイナンバーをクラウド上で管理
紙での管理をなくし、必要なときだけデータをインターネットから取り出します。
3.SRPⅡ認証を取得
マイナンバーに対応した安全管理措置が認証基準に追加されました。
雇用保険料率 2年連続 引き下げに
【2017年4月からの雇用保険料率】
一般の事業 9.0/1000(会社 6・労働者 3)
農林水産等11.0/1000(会社 7・労働者 4)
建設の事業12.0/1000(会社 8・労働者 4)
本棚 『子ども食堂をつくろう!』 (明石書店)
「子どもの貧困」解決のために、いま最も注目されている「子ども食堂」。
その先駆けであるNPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークの活動を伝える本です。
ワクワクする一冊です。
【2面】
年金よろず相談 【五ノ巻・上】
二十歳前傷病の障害年金
D 子 数年前に障害年金を申請して通らなかったんですが、どうにかなりませんか。
社労士 どんな経過でしたか。あらましを教えてください。
D 子 二十代で統合失調症を発病したときは厚生年金に加入していました。四十代で症状が悪化して、障害年金を申請したんですが、2ヵ月くらいで「却下」になりました。最初の病院のカルテがなくて、会社を辞めた後の国民年金が未納になっていたんです。
社労士 なるほど。保険料に未納期間が多いと年金が受けられないというのは、障害年金の「ハードル」の一つです。
D 子 その後、就労支援施設に通っているとき、知的障害の検査を勧められ、検査の結果、「軽度の知的障害」があると分かりました。日常の生活にも不自由があり、障害年金をもらえたらと思います。
社労士 最初の申請は「却下」ではなく、保険料未納による「返戻」だったと思います。つまり審査に至らなかったということです。知的障害は生まれつきのものなので、二十歳前に傷病になっていたことになり、保険料の納付の有無を問われることはありません。
D 子 では、知的障害なら障害年金をもらえるのですか。
社労士 統合失調症に見えている症状が、実は知的障害によるものであることを証明する診断書を提出し、障害の程度が2級以上に該当することが認定されれば、障害年金を受給できると考えます。
D 子 もう一度申請したいです。お願いします。(つづく)
※このコーナーは、実際に寄せられた相談をモデルにしたフィクションです。
だから映画はおもしろい vol.22
『わたしは、ダニエル・ブレイク』
(2016年、イギリス・フランス・ベルギー)
●引退を撤回したイギリスの名匠ケン・ローチ監督が「どうしても撮りたかった」本作は、『麦の穂を揺らす風』(2006年)に続いて再びカンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)を受賞しました。
●主人公のダニエル(デイヴ・ジョーンズ、本業はコメディアン)は59歳の大工さんです(筆者と同年代)。心臓病でドクター・ストップがかかり、失業手当を受けようとします。
しかし、あまりにも面倒な手続き、オンラインでしか申請を受付けない非情な制度に阻まれます。理不尽なお役所にいちいち反抗するダニエルの姿に拍手を送りたくなります。
途方にくれるダニエルでしたが、シングルマザーのケイティのピンチに遭遇し、自分のことはそっちのけで、母子のため奔走します。
●この映画には、多くの弱者が出てきて、そのほとんどが救われません。それでも、追い詰められたダニエルが、「尊厳を失ったら、終わりだ」と立ちあがるシーンは鮮烈です。
これまで労働者の目線で多くの政治・社会問題を描いてきた監督が、イギリスの社会保障制度の矛盾を通じて、弱者(格差や貧困にあえぐ人々)に冷たい現代社会を告発するとともに、弱者の連帯が世界を変える力につながることを訴えています。
●この10年、日本で公開された同監督の作品をすべて鑑賞してきた筆者としても、本作は「よくぞここまで」と感心する力作です。ローチ監督、引退などと言っている時ではありませんよ。世界中が次作を待っています。
編集後記
▼まだまだ続く?「トンデモ学園」騒動。登場人物は主演(理事長)・助演(夫人・大臣)ともにN会議のメンバーです。愛国主義も過ぎれば国有地の「8億円値引き」になるのでしょうか。
▼そんな中、センバツ高校野球決勝の「大阪対決」は大熱戦でした。良い意味で目立つ大阪であってほしいと願うのが「郷土愛」です。