かわちのタイムスNo.22(20160801) ← クリックすると画像が見られます。
【1面】
なぜ起こる、どう防ぐ
労働トラブル
労働トラブルには原因があります。それは、表面化しなければわからないものでしょうか。
◆最近の相談事例から
【ケース① 退職金支払い】
退職した社員が「退職金支払いが不当」と労基署に申告。
会社は数年前に退職金規定を見直したものの、「不利益変更」になると考え、労基署に届出ていませんでした。元社員は、同時期に退職した他の社員とも連絡を取り、自分の退職金が「新規定」によって計算されていることに気付きました。労基署からの是正指導によって、会社が退職金の差額を支払った後も、繰り返し謝罪を求めるメールを会社に送ってきていました。
相談を受けて、総務担当者に代わって元社員と遣り取りをおこない、事態が鎮静化しました。
【ケース② 残業代支払い】
退職した社員から、代理人を介して内容証明郵便が届きました。
元社員は、代休取得や残業代支払いが不十分だったと主張して、入社から退社までの2年間に及ぶ出退勤記録業務日報)を提示。コピーして保管していたようです。代理人からは金銭による「和解」が提案されてきました。
会社の役員とともに、元社員の代理人との交渉に臨み、提示額の半額程度の和解金で決着しました。
◆こじれる前にどうする?
二つのケースは、会社側にも労務管理上の問題点がありました。また、労働者のエネルギーが在職中に発揮されていたら、職場環境改善につながったとも考えられます。
社労士としては、労働トラブルを未然に防ぐ人事・労務管理の整備に、積極的にかかわっていきたいと思います。
これなら使える 雇用保険助成金 ⑨
キャリア形成促進助成金
《制度導入コース》
★事業主が継続して人材育成に取り組むために、次の様な制度を新たに導入し、1人以上の正社員に適用した場合に、助成されます。
① (教育訓練・)職業能力評価制度
自社の仕事に必要な職業能力を体系的に整理し、労働者の職業能力の評価をジョブ・カードを使って計画的に行う制度
② セルフ・キャリアドック制度
労働者に定期的にキャリア・コンサルティングを実施する制度
適用する人数
雇用保険加入者数20人未満は1人、10人増えるごとにプラス1人中小企業
もらえる金額
①50万円+②50万円=100万円
当事務所「ダブル・アップ」作戦
★「あっぷあっぷ」ではありません。
●スタッフ採用でパワー・アップ!
●電子申請でスピード・アップ!
【2面】
どうしたもんじゃろのう…
介護職員処遇改善加算
少し前、「看護婦を増やして」が当たり前のように言われました。一つの職業が国民的関心事となったのです。
今は、「保育士、介護職員を増やして」がその位置を占めています。
介護職員処遇改善加算の27年度実績報告は7月末が期限でした。今年から、給料への加算額だけでなく、各職員の支給額(給料総額)も報告内容に加わりました。そのため、報告作成に苦労したのは筆者だけではないと思います。
報告内容が変わった理由は明らかになっていません。自治体に問い合わせても、「国が決めたことなので」という返事しか返ってきません。
もともと、処遇改善加算は問題点の多い制度です。①加算の対象となる職種が限られている。②加算を取るかどうか、そのレベルも含めて事業主が選択する。③どの職員にどれだけ加算するかは、事業主の裁量に任されている。④制度自体が「期間限定」で、いつまで続くかわからない。
各職員の支給額の報告を求めるのは、不正防止のためとも思えますが、案外、国自身が制度の有効性―介護職員の賃金改善につながっているかどうか―に疑問を感じているからかもしれません。
介護職員処遇改善加算は、決して「バラマキ政策」ではありません。むしろ、「介護離職ゼロ」(ムリ!)をおおっぴらに掲げる政府は、もっと本腰を入れた処遇改善の施策をおこなうべきです。
介護事業に関わるすべての労働者対象の、確実に賃金アップにつながる、一律の交付金の創設を。より早く、より高く、より広く!(オリンピックのモットー調で)
文楽 だからおもしろい
(人形浄瑠璃) vol.4
『薫樹累物語』(めいぼく かさね ものがたり)
『伊勢音頭恋寝刃』(いせおんど こいのねたば)
(国立文楽劇場)
国立文楽劇場の夏休み企画で、「怪談」「刃傷」がメインの二作品を鑑賞しました。
「薫樹累物語」は、怪談落語「真景 累ヶ淵」でおなじみの「累(かさね)もの」の一作です。累のお相手の名前は与右衛門と決まっています。
本作は主君のために傾城・高尾を殺した絹川谷蔵が、高尾の妹の累と夫婦になるのですが、高尾の怨念によって、累の美貌は変わり果てました。
この場面、人形の首がすり替わるのですが、不気味さを感じます。与右衛門と名を変えた谷蔵は、主君の姫への忠義から累も手にかけてしまうのでした。
「怪談」よりも主君への「忠義心」の方に怖さを感じます。「忠心愛国」の思想は、現代にも脈々と引き継がれているのです。
「伊勢音頭恋寝刃」は主家から盗まれた銘刀を取り返そうとする男の話。「古市油屋の段」では、刀を手に入れた福岡貢(みつぎ)が、その鑑定書を取り返そうとするうち、恋仲である女郎・お紺に裏切られたと思い込み、逆上します。
「奥庭十人斬りの段」では銘刀を手にした貢が、無差別連続殺人ともいうべき、刃傷を繰り広げます。人形なので、手や足がちょん切られて飛んでいく場面でも、正視していられますが、余りよいものではありません。
もとは歌舞伎の作品だったそうですが、殺し場の場面は文楽向きなのかもしれません。
編集後記
▼日曜日の朝、ジョギングのコースで、スマホを手に探索している人を何人も見かけました。炎天下に無帽(無謀)で、まさに「熱中症」が心配です。スマホがなくてホッとしています。
▼「今から○○年前に、イチローという選手がいて…」。後世に語り継がれるであろう瞬間に遭遇することのできる8月です。