かわちのタイムスNo.77(20251001) ←クリックすると画像が見られます

【1面】

最賃1500円実現を考える
経済立て直しにつながる? 社会保険料負担どうする?

令和7年度の最低賃金は全国平均で66円引き上げられ1121円となりました。
次の点が指摘されます。
①過去最高の引き上げ額ながら、政府(石破首相)が公言していた「2029年までに1500円を実現する」引き上げペースには及ばない。
②中央最低賃金審議会の目安に上乗せした県は39県と過去最多ながら、引き上げ時期が大幅に遅れる県が多い。
③最高(東京都)と最低の3県の開きは2百円を超え、都市と地方の差は依然大きい。
物価高騰が続く中、最低賃金1500円の実現で大幅賃上げできれば、労働者と家計の所得が増え、景気の回復につながり、日本が陥っている「インフレ不況」からの脱却も可能になります。
同時に、賃金引き上げに伴う社会保険料の負担増が中小企業経営を苦しめています。
多くの先進国で実施されている社会保険料減免などの中小企業支援に取り組むことが切実に求められています。

大阪の最低賃金1177円に
全国加重平均は1121円、66円引上げ
発効日に6ヵ月もの開き

◆中央最低賃金審議会はランク別にABは63円Cは64円アップの目安額を示したが39道府県(東京・大阪除く)が上乗せした。
◆発効日は10月1日(栃木)から来年3月31日(秋田)まで6ヵ月の開きがある。
◆最高(1226)と最低(1023)の差は203円

府 県  改定後  改定前  増額  発効日
滋 賀  1080  1017 63 10月5日
京 都  1122  1058 64 11月21日
大 阪  1177  1114 63 10月16日
兵 庫  1116  1052 64 10月4日
奈 良  1051    986 65 11月16日
和歌山  1045    980 65 11月1日
全 国  1121  1055 66   ―

物価上昇率を大幅に上回る賃金引き上げ + それを可能にする中小企業支援(社会保険料減免等) = 労働者・家計所得を増やし、利上げに耐えられる経済へ向かう

中小企業の単純モデル
売        上   2000万円  2100万円    5%アップ
賃        金   800万円    856万円  7%アップ
社会保険料    120万円    128万円    7%アップ
その他経費    200万円    210万円    5%アップ
企業者利得    880万円    906万円    3%アップ

物価上昇率5%を上回る賃上げをおこなったところ、社会保険料も上昇し、企業者利得の伸びは物価上昇率を下回ることに。

 

久宝寺緑地で手ぶらBBQ

BBQ写真

かわちの労災保険センターのレクに16人参加(9/21)

 

当事務所の職員が社労士試験に合格しました!年内に登録して、社会保険労務士となります。

 

【2面】

「気になる」ニュース問答⑥
大丈夫かな?「スキマバイト」(上)

社 長 大阪の特養(特別養護老人ホーム)で利用者が亡くなる事故があったとか。
社労士 容疑者の介護福祉士は、「スキマバイト」で勤務していたと報道されました。
社 長 ああ、「タイミー」とかですね。うちも利用したいと思っていました。
社労士 仕事の内容にもよりますが、いろいろと心配な点があります。
社 長 どんなことですか?
社労士 大阪の特養での事故は、容疑者がまだ2回目の勤務なのに、一人で入浴介助を任されていました。
社 長 会社の「監督不行き届き」ですか。
社労士 「安全配慮義務違反」といいます。「スキマバイト」は毎回違う場所に勤務するので、施設の設備、利用者一人ひとりの状態などわからないままに働いていることがあり、利用者の安全が確保できない恐れがあります。
社 長 人手不足でスタッフが集まらなかったのかな。
社労士 「スキマバイト」で働く労働者の労災事故も心配です。このところ、労働者派遣や「日々紹介」の労働者の労災事故が目立ち、労災保険請求の依頼がたびたびありました。
社 長 どんな事故ですか?
社労士 仕事に不慣れなことによる製造現場での事故、通勤中の事故が目立ちます。
社 長 毎日違う職場に行く「タイミーさん」だと、余計に心配ですね。
社労士 「スキマバイト」がなぜ急速に広がったのか。このつづきは次回お話します。
社 長 「タイミー」ならぬ「タイムアップ」ですね。

だから映画はおもしろい vol.64                                                      シャンバラストーリー
(2025年、日本・アメリカ・インド)

●大阪の「春の風物詩」、第21回大阪アジアン映画祭が万博に合わせて8~9月に開催され、猛暑の中、1日4作品を観賞しました。
●「シャンバラ」とはチベット仏教の理想郷のこと。チベットからインドに亡命しているダライ・ラマ14世は来日を重ねています。
●インドのダージリンから来た敬虔なチベット僧侶(モー・ズーイー)は日本での修行中に老人(火野正平)と、仮釈放中の孫娘(武田梨奈)と親しくなる。僧侶は暗い過去を持つ孤独な彼女の精神的な支えになるが、距離が縮まるにつれ戒律を裏切る禁断の感情が芽生え…。大人の切ないラブストーリーです。
●本作が遺作となった火野正平の老人は、大きな庭のある家に住みながら、スーパーで万引きするなど、不可解な暮らしぶり。僧侶に手伝ってもらいながら、孫に内緒で庭に作っていたのは「避難シェルター」でした。
●上映後のクエスチョンタイムに、関根俊夫監督、藤原環(プロデューサー・脚本)、主演の武田梨奈が登場。本作はインドと日本を舞台に製作に8年を要しました。監督は武田梨奈をキャスティングした理由として「1番は格闘家でもあり体力があること。2番目は見た目」と答えました。各国の監督や俳優と交流できることが映画祭の魅力の一つです。
●4本の映画の間のインターバルは昼食・お茶・夕食タイムです。少し移動するだけでも汗をかき、水分補給が欠かせません。夕食に入った沖縄料理店で「メガ・ジョッキ」を注文してしまいました。次回の映画祭は1年半後の2027年3月に開催される予定です。

編集後記

▼9月に京都で開催された過労死防止学会の大会に初めて現地参加。懇親会では多くの学者・弁護士・過労死家族の方々と交流。オンライン参加では得られない経験です。
▼「手ぶらバーキュー」の呼びかけをしながら、いつまで猛暑が続くのか心配でした。お彼岸には暑さが和らいだものの、史上最高の猛暑が毎年繰り返されるのでしょうか。