かわちのタイムスNo.71(20241001) ← クリックすると画像が見られます。
【1面】
「気になる」ニュース問答③
日・韓・豪のランキング?
社 労 士 日本・韓国・オーストラリアと聞いて、何を連想しますか。
若手社長 男子サッカーのランキングですね。現在は日本16位、オーストラリア22位、韓国23位かな。
社 労 士 サッカーマニア?
若手社長 そもそも、オーストラリアがワールドカップにおいてアジア枠に加わっているのは、日韓大会後に…
社 労 士 「うんちく」は別の機会にお願いします。では豪・韓・日の順といえば?
若手社長 ラグビーじゃないし、何かなあ。
社 労 士 意外かもしれませんが、最低賃金です。
若手社長 日本はこんなに毎年上がっているのに!
社 労 士 外国はアップ率がもっと大きく、日本はかなり差をつけられています。
若手社長 それで今年は51円アップなんですか?
社 労 士 徳島県では84円アップを決めました。若者の「地方離れ」を何とか防ぎたいというのが最大の理由のようです。
若手社長 それで人材が確保できれば「とくしま」すね。
社 労 士 狭い日本で、なぜ地域別最賃制をつづけようとするのか。全国一律制を考えてもいいと思います。
若手社長 たしかに。日本代表でいいかも。
【 最低賃金3ヵ国比較 】
国 名 | 2024年発表 | アップ率(2022→2023年) |
オーストラリア | 約2,510円 | 5.2% |
韓 国 | 約1,160円 | 5.0% |
日 本 | 1,055円 | 3.3% |
大阪の最低賃金1114円に
全国加重平均は1055円、51円引上げ
それでも地域間格差はつづく
◆中央最低賃金審議会は、ABCランク別でなく一律50円アップの目安額を示した。
◆これに対して、27県が目安額に上乗せして答申。なかでも徳島県の84円上乗せが注目される。全国加重平均は51円となった。
◆最高(1163)と最低(951)の差は212円
府県名 | ランク | 改定後 | 改定前 | 引上額 |
滋 賀 | B | 1017 | 967 | 50 |
京 都 | B | 1058 | 1008 | 50 |
大 阪 | A | 1114 | 1064 | 50 |
兵 庫 | B | 1052 | 1001 | 51 |
奈 良 | B | 986 | 936 | 50 |
和歌山 | B | 980 | 929 | 51 |
全国加重平均 | 1055 | 1004 | 51 |
※近畿地方の発効予定日は2024年10月1日
【2面】
公益通報(内部告発)が
「二つの悲劇」につながった
公益通報者保護制度は、公益(国民生活の安心や安全)のために事業者の法令違反行為を通報した事業者内部の労働者に対する解雇等の不利益取扱いを禁止するものです。
内部告発者の元局長が「死をもって抗議する」痛ましい事態となった兵庫県知事のパワハラ(疑惑)問題。その対応を巡り県議会で不信任決議を受けた斎藤元知事は9月30日に失職したものの、出直し選挙に出馬を表明。一連の問題は県民の判断に委ねられることになりました。
このニュースとよく似た事件が和歌山市であったことを今年5月に知りました。
2020年に和歌山市の職員十数人が処分された不正支出を巡り、公益通報した男性職員が自殺しました。男性の遺族は公益通報者への配慮が欠けていたとして、公務災害認定や第三者委員会での真相解明を求めています。
当時20代の男性は勤務する児童館で公金の不正使用が続発していることに気付き、ストレスで休職。公益通報制度で内部告発しました。
男性は職場復帰して別の部署に勤務していましたが、よりによって内部告発により懲戒処分を受けた職員が同じフロアのすぐ近くの席に異動させられてきました。針のムシロといえる状況に男性はいたたまれなくなり、自殺に追い込まれたのです。
公益通報者が守られなければ制度が成り立ちません。真相解明が待たれます。
だから映画はおもしろい vol.59
ぼくが生きてる、ふたつの世界
(2024年、日本)
●ろう者の両親のもとに生まれた子ども「コーダ」のエッセイをもとにした、呉美穂(おみぽ)監督の9年ぶりの長編映画です。
●主人公は吉沢亮、両親役の忍足亜希子、今井彰人をはじめ、ろう者の登場人物はすべてろう者の俳優が演じました。母親役の忍足亜希子は「アイ・ラブ・ユー」でろう者初の主演女優としてデビュー。「アイ・ラブ・ピース」「アイ・ラブ・フレンズ」も懐かしい。今回は母親役がぴったりでした。実生活でも子育て中と聞いて納得です。
●映画の冒頭、「お食い初め」のシーン。わが子の誕生100日目に祖父母と神社に参拝した記憶が蘇りました。また、手話の勉強会のシーンでは、親子で手話サークルに何度か参加したことを思い出しました。
●主人公は家族から愛され、両親から手話を教わり、両親の通訳をすることにも抵抗なく育ちました。しかし、成長するにつれ、周囲の目が気になり、他の家庭との違い、わずらわしさを感じるようになります。誰にでもある反抗期とも言えますが、コーダであるがゆえの悩み・葛藤が描かれます。
●コーダを描いたテレビドラマも多く、最近見た「しずかちゃんとパパ」「デフ・ヴォイス」は秀作で、少しはろう者の世界がイメージできたような気になっていました。今回は映画館で「字幕付き」回を観賞したので、ろう者の観客が多く、上映前後にあちこちで手話が飛び交っていました。身近なところに別の世界があることを実感しました。
編集後記
▼自民党総裁選の公約に解雇規制の見直しを掲げる候補者がいてビックリ。批判を受けて引っ込めるようでは「改革をめざす」のも無理です。
▼ようやく秋めいてきて、庭の夕顔の花が開きました。つぼみから満開まで、花弁の開き具合が暑さのバロメーターです。気候変動に季節の楽しみを奪われたくありません。