働く人々の安全と健康を守る「労働保険」。
「労働保険」とは、その名前のとおり、労働に関する事故や、失業等のリスクに対応するための保険制度のことを指します。
ではこの「労働保険」、私たちが勤務先などでよく耳にする「労災保険」「雇用保険」と一体どのような違いがあるのでしょうか。
今回は「労働保険」「労災保険」「雇用保険」の違いについて、わかりやすくまとめてみました。

「労働保険」ってなに?

「労働保険」とは、「労災保険」と「雇用保険」の二種類の保険の総称。
言い換えると、「労災保険」と「雇用保険」の二つの柱で構成されているのが「労働保険」ということになります。

「労働保険」とは、勤務先で発生する、労働者の事故や病気、失業などのリスクに対処するための社会保障制度であり、労働者とその家族の生活を守り、労働者に安定した労働環境を提供することを目的としています。
事業主は、労働者(パートタイマー、アルバイト含む)を一人でも雇用していれば、業種・規模を問わず、労働保険の加入手続きを行い、労働保険料を納付しなければならない義務があります。

「労災保険」とは

ではこの「労働保険」に含まれる、「労災保険」とは具体的にどのような内容なのでしょうか。
「労災保険」は、勤務中の事故やケガ、病気をカバーし、治療費や休業中の手当てなどを提供することで、労働者の健康と安全を守る制度。
事業主が保険料を全額負担し、その事業主の下で働く全労働者が対象となります。
主な給付内容としては、「治療費用」「休業補償」「障害給付」などで、労働基準監督署が管轄機関となります。

「雇用保険」とは

一方「雇用保険」とは、失業時の経済的支援を目的としており、労働者が新たな職を見つけるまでの生活をサポートする制度。
「労災保険」とは異なり、保険料は労働者と事業主が共同で負担し、主な給付内容は「失業給付」「職業訓練支援」などです。

また、「雇用保険」は、

・1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること
・31日以上の雇用見込みがあること

上記が加入条件とされており、パートタイマーやアルバイトでもこれらの条件を満たせば、「雇用保険」加入対象者となります。
管轄も「労災保険」とは異なり、「雇用保険」の窓口は公共職業安定所となります。
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法人でも個人事業主でも、対象となる従業員を雇用したときには「労働保険」への加入が必要です。
「労災保険」と「雇用保険」の目的、違いを理解し、事業主と労働者が、互いに安心できる雇用関係を築けるようにしましょう。