かわちのタイムスNo.53(20211001) ← クリックすると画像が見られます。

【1面】

就業規則が求められるのは?

トラブル予防目的がトップ

就業規則の作成・改定の目的は様々ですが、労働トラブル予防は変わらぬニーズがあります

◆作成・改定の3つの理由

最近の就業規則の作成・改定の理由は次のとおりです。

①労働トラブルが起こったか起こりそうなので。②介護・保育・障害福祉などの加算取得の申請のため。③コロナ禍による問題への対応のため。

そのうち、労働トラブル関係に共通する声は「就業規則が古くて法改正に対応していない」「労働時間などの実態が規定に合っていない」「就業規則の内容を従業員に説明できない」というものです。

◆作成・改定時に留意する点

就業規則には、「会社のルールを定める」という側面と「労基法など労働法の要点を労働者に知らせる」という側面があります。

労働関係の法改正は頻繁に行われ、特に「働き方改革」やコロナ禍への対応では、これまでなかった規定も必要になります。

「どうせ改定するなら」と以前のものとのつながりを考慮しないのは危険です。労働条件を前よりも下げること(不利益変更)は、それほど簡単にはできないからです。

労働者からの相談では「就業規則が金庫に入れられていて、見ることができない」「賃金引き下げを一方的に示され、『サインできないのなら契約しない』と言われた」などの声が聞かれます。

就業規則を労働トラブル予防に役立てるためには、作成・改定に手間を掛け、労働者の過半数代表からの意見聴取だけでなく、説明会開催など従業員全体に周知することが大切になります。

就業規則の作成・改定・届出・周知まで「かわちの社労士」にご相談ください。

 

全国平均も 近畿も 大阪も

最低賃金引き上げ 過去最高の28円

10月から最低賃金が改定されます。コロナ禍により0~3円(大阪は0円)の引き上げに終わった昨年と打って変わって、全国加重平均が過去最高の28円引き上げとなります。

また、一昨年同様に、地方の県が答申以上の引き上げに踏み切りました。

【県別引き上げ額一覧】

32円アップ 島根
30円アップ 秋田・大分
29円アップ 青森・山形・鳥取・佐賀
28円アップ 上記以外の40都道府県

【改定額ベスト3】

東京1041円、神奈川1040円、大阪992円

【近畿の改定額】

滋賀896円、京都937円、大阪992円、兵庫928円、奈良866円、和歌山859円

 

【雇用調整助成金の申請状況(9)】

全  国 ~7月30日 ~9月24日
申請件数 4,223,840 4,721,831
決定件数 4,082,146 4,601,625
決定額 4兆0,706億円 4兆4,981億円
当事務所 ~7月30日 ~9月30日
申請件数 233 265
決定件数 208 237

 

【2面】

「ブラック社労士」と言われないために

神奈川SR経営労務センター事件の真実(上)

筆者が代表を務める自主研究会は、9月に公開講座「神奈川SR経営労務センター事件の真実」を開催し、担当弁護士の北神英則氏を横浜から招きました。

この事件は神奈川県の社労士の団体でのパワハラ、いじめを発端とした4裁判で、およそ10年間に及んでいます。

北神弁護士は被害者Aさん(後にBさんも加わる)の入職から今日までの出来事とその中で起こった各訴訟のポイントを明らかにされました。

社労士が役員を務める労働保険事務組合の小さな職場で起こった「いじめ」をめぐって、労働局へのあっせん申し立て、訴訟提起となり、和解に。しかし、SRが和解条項を守らず、さらにハラスメントを。精神的に追い込まれた労働者が休業・休職。休職からの復職申請をSRが拒否。それに産業医が加担した。

何故こんな事件が今も続いているのでしょうか。(つづく)

訴訟 内  容 結 果
1次 代表者と先輩によるパワハラで提訴 被害者勝利和解
2次 第1訴訟の和解条項で提訴 被害者勝訴確定
3次 休職明け復職を不当拒否として提訴 被害者勝訴確定
4次 産業医と組んだ復職妨害に対し提訴 一審継続中

 

だから映画はおもしろい vol.44

  パンケーキ毒見する   

(2021年、日本)

●マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー『華氏119』(本欄vol.30で紹介)は、「トランプ王国の崩壊」をめざして、アメリカ中間選挙の直前に公開されました。筆者は日本でもこのような快作が現れることを待ち望んでいましたが、近づく総選挙を前に、待望のドキュメンタリーが河村光庸プロデューサーによって世に放たれました。

●菅義偉氏の「叩き上げの苦労人」と言われる経歴や、「博打うち」なる政治手法をアニメを交えて誇張的に描き、ムーア監督の『ボウリング・フォー・コロンバイン』を想起させます。石破茂氏(自民党)、江田憲司氏(立民党)らの政治家や元官僚、ジャーナリスト、学者らのインタビューを通じて菅氏の人物像、菅政権の目指すものを明らかにします。

●安倍政権から引き継いだ当初は高い支持率を誇った菅首相。それは「パンケーキ」を振舞われる首相取り巻きのマスコミ報道にもよるものでした。しかし、学術会議任命問題などでつまづくと、コロナ対策では後手後手の対応つづき。側近の作文の棒読みをあくまでも繰り返す国会答弁は喜劇的でもあり、肝心なことは一切答えない首相のポーカーフェイスに怒りがわいてきます。

●本作の大阪での上映が決まる前に、菅首相は退陣を表明しました。総選挙の顔をリニューアルしたいという力が働いた結果です。コロナ禍でも国会は開かれず、マスコミはまたも一政党の党首選びを延々と報道しました。

本作の投げかけた問いをどう受け止めるか、今度は主権者・国民が試される番です。

 

編集後記

▼腰や背中の痛みに加えてワクチン接種が重なり、夏まで『日曜ランナー』を休みがちでした。「スポーツの秋」となり、ようやく以前のコースに戻しています。

▼最近の将棋番組は「AI評価値」が形勢判断の目安となり、一手指すごとに目盛が振れて翻弄されます。それでも人が指す将棋の楽しさは何ら変わりません。