かわちのタイムスNo.37(20190201) ← クリックすると画像が見られます。

【1面】

年次有給休暇の時季指定義務

「どうもピンとこない」

という社長さんへ

今年4月から始まる「年次有給休暇の時季指定義務」。 社長さんの素朴な疑問にお答えします。

●何が決まったんですか?

4月からどんな規模の企業でも、年10日以上の年休が取れる労働者に対して、年5日は使用者が日を決めて休ませることになりました。

●わが社に年休は無いが!?

年休は要件・日数が労働基準法で決まっています。ただし、年休は労働者が請求して使用者が与えるものですから、請求がなかったのかも。

「うちの職場は年休が取れる雰囲気ではない」などの理由で年休取得率が低いことから、労基法が改正されました。

●与えないとどうなるの?

一年が過ぎた時点で、5日与えていないと労基法違反に問われます。(罰則あり)

●「時季指定」て何ですか?

使用者が労働者の意見をなるべく聞いた上で、「〇月×日に休んでください」と指定することです。すでに5日以上年休を取っている労働者には、その必要はありません。

何だか大変なことですね?

「これまで年休のことを考えるのはできるだけ避けてきた」という社長さんにとっては、頭の痛いことです。

ただ、「そんなに休んでいたら、他に遅れを取る」ことにはなりません。どの企業にも当てはまるルールですから。

何かいいことあるかなあ?

年休は労働者にとっては心身のリフレッシュになり、それが元気に働き続けることにもつながります。

また、誰かが休む時に仕事の引継ぎがスムーズに行くように工夫することで、「職場のチーム力」向上につながることも期待できます。

●管理はどうすればいいの?

年休は、雇い入れの6ヵ月後に発生するので、一人ひとりの始まる日(基準日)が違います。管理が大変な場合は、全員の基準日を合わせることも考えられます。

一人ひとりの年休の管理は、台帳(ノート)に氏名・基準日・年間日数・取得した日を付けていくのが基本です。

かわちの社労士事務所では、給与計算と合わせて「年次有給休暇管理表」作成のサービスを行っていますので、よろしければご利用ください。

 

活用したい 雇用保険助成金①

育児休業等支援コース

【両立支援等助成金の一つ】

 

【もらえる会社】

◆「育休復帰支援プラン」により、育児休業の円滑な取得・職場復帰や代替要員の確保にとりくんだこと

◆上記の「プラン」による措置を就業規則に定め、社員へ周知していること

◆対象社員の育児休業開始前に、「プラン」に基づき、引継ぎを行ったこと

◆対象社員が3ヵ月以上育児休業を取得し、職場復帰後6ヵ月以上継続雇用すること

 

もらえる金額】

①育児休業取得時      28.5万円     2人まで
②職場復帰時        28.5万円     2人まで
③代替要員確保時      47.5万円     10人×5年

 

【2面】

年金よろず相談  巻・上

発達障害の障害年金

【予備知識・発達障害とは】

発達障害は生まれつきの障害ですが、なかなか気付かないことがよくあります。

学生時代はなんとかやっていけたが就労には対応できない。就職後も自分に合った職場なら大丈夫だが、上司が変わるなどの環境の変化に対応できないケースが多いのです。

その場合は受診し、発達検査の結果で、自閉症スペクトラム症(アスペルガー障害)、注意欠陥(欠如)多動性症(ADHD)などの発達障害と診断されます。

発達障害の特徴が結果として「仕事が遅い、使えない」等の評価につながると、人間関係にも影響してしまいます。

【ある日の相談から】   

F 女 28歳の娘が最近になって発達障害とわかり、仕事も辞めてしまいました。

社労士 それまで医者に診てもらったことは?

F 女 保育所で「集団生活ができない。小学校は支援学校の方がいいのでは」と指摘され、教育センターに相談しました。そこで「のんびりした性格も個性です」と言われたので、病院を受診せず、普通学級に入学しました。

社労士 学齢期に困ったことはありましたか?

F 女 もう毎日ありました。忘れ物が多い(ランドセルも)、宿題ができない、規則が守れない、いじめが続く…。

社労士 ここ数年間は仕事を続けられたんですね。

F 女 上司の方がすごくサポートしてくださって。でも、上司が退職して環境が変わり、耐えられなくなったんです。就労は難しいので、障害年金を受給したいです。〈つづく〉

※ 実際に寄せられた相談をモデルにしたフィクションです。

 

だから映画はおもしろい vol.31

こんな 夜更けに バナナかよ

しき実話

                  (2018.日本)

●幼少期に筋力が徐々に衰えていく筋ジストロフィーにかかった30歳代の男性が、病院を飛び出してボランティアたちと自立生活を送っていました。90年代の実話が涙あり、笑いありのパワフルな映画になりました。

●車いす生活で24時間介助が必要な鹿野靖明(大泉洋)は、医大生の田中(三浦春馬)、その恋人の美咲(高畑充希)らボランティアたちに対し、夜中の2時すぎに「バナナ食べたい。買ってきて」とわがままを言って振り回します。慣れない美咲は「鹿野さんは何様なの」と憤慨する。しかし、それは介助なしでは一時も過ごせない障害者が自分らしく生きるための「命がけのわがまま」でした。

●鹿野は人の助けを借りる勇気を存分に発揮しながら、大きな夢に向かっていきます。人工呼吸器が必要になっても、努力で声を取り戻し、家族同様のボランティアたちと一緒に在宅で生活するのでした。どんな逆境にあっても前向きに生きること、自分に素直に生きることの大切さがストレートに伝わります。

そんな鹿野や仲間たちと過ごす中で、夢を追うことの大切さを知る美咲、医者になる夢を取り戻す田中。若者の成長も描かれます。

●この実話以降の20年、日本の障害者福祉は前進したのでしょうか。優生思想に侵された元施設職員が引き起こした津久井やまゆり園事件、官公庁の障害者雇用率水増し問題など、「ノーマライゼーション」に反する動きが目立ちます。障害者を支援する体制はボランティアの活躍だけでは成しえないはずです。

 

編集後記

▼毎月勤労統計の不正により、労災保険・雇用保険の給付が目減り。事故にあった人、失業した人の財布から、国がお金をちょろまかしたことになります。

▼事務所移転を機に、宣伝を強化。遅ればせながら、ホームページ・名刺を新調し、窓にはシール看板を。新「3つのモットー」も発表、くわしくはウェブで!