かわちのタイムスNo.28(20170801) ← クリックすると画像が見られます。
【1面】
キビシクなった?!労働時間把握
労基署「是正勧告」を読む
近頃、労基署による指導が強化されています。電通事件後、「かとく」と連動しているようです。
◆相談を受けた調査の内容
今年に入って当事務所にも労働基準監督署による調査の相談が3件ありました。いずれも呼出し調査の結果、「是正勧告」を受けています。
運送会社は自動車運転者について、労使協定の限度時間を超える拘束時間、休息期間の確保、健康障害防止措置などの指摘を受けました。
印刷会社は営業職などの時間外労働・深夜労働に対する割増賃金支払い。
介護事業所は訪問ヘルパーの労働時間管理。
それぞれ、残業時の割増賃金計算に問題があり、3ヵ月分の再計算による未払い賃金の支給を勧告されています。
休日・時間外労働協定(36協定)は調査時までに締結した上でのことです。
◆「かとく」とガイドライン
労基署のこのような動きには、過労死防止法制定後に起こった電通事件が大きく影響しています。
違法な長時間労働の是正ののために設置された「かとく」(※1)は大手企業をターゲットにして強制調査を手がけています。
今年1月20日に制定された「ガイドライン」(※2)は、「使用者には労働時間を適正に把握する責務があること」を掲げ、使用者の講ずべき措置を具体的に明らかにしています。
これらの背景には、過労自殺を招く長時間・過重労働は許されないという社会的気運の盛り上がりがあるのです。
※1 過重労働撲滅特別対策班の通称。(科学特捜隊ではない)大阪かとくは、大手外食チェーンを労働基準法違反として次々と書類送検している。
※2 ①趣旨 ②適用範囲 ③労働時間の考え方 ④労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置、からなる。
かき氷、ならぬ夏期講習
★昨年に続いて大阪府の委託訓練「仕事に役立つ就職応援科」労務事務講師を勤めることになりました。
☆精神・発達障害のある方の訓練で、今年は7・8月下旬に3日間ずつ計6日間「ラジオ体操」の様な日程です。
★テキストは昨年と同じ。小さな会社の入・退社にかかる手続き、給与計算、年末調整などの講義と演習です。この1年間に法改正された項目もいくつかあります。
☆受講生は20~30歳代です。若い人とのコミュニケーションの難しさはふだんから実感しているところで、自信は持てませんが、何とか労務事務に興味を持ってもらえるようガンバリます。
【2面】
年金よろず相談 六ノ巻
「十年で年金」とは?
E 子 先日は、夫の年金請求手続きをしていただきありがとうございました。
社労士 年金を17年も掛けていたのですから、もらえるようになったのが遅いくらいです。
E 子 夫は有料老人ホームに入所していますし、私も足が悪くて。
社労士 年金請求書の用紙が郵送されてきても、請求しないともらえないのが年金です。場合によっては、戸籍抄本や住民票を提出しなければなりません。
E 子 いつから25年掛けなくても、年金をもらえるようになったんですか。
社労士 「年金機能強化法」によって、平成26年4月に制度改正され、27年10月から施行されるはずでした。ところが、消費税増税(10%にアップ)が見送られたので、年金改正も見送られてしまったのです。消費税増税はなかなか目途が立たないので、年金改正を切り離して今年8月から実施したのです。
E 子 通知が届くまで知りませんでした。
社労士 もう少しで10年になる人にも、年内にはお知らせが届くようです。足らない人は70歳まで任意加入することができます。
E 子 もらえる金額は案外少ないんですね。
社労士 老齢基礎年金は、40年掛け続けた人だけが満額もらえます。10年掛けただけだと、その4分の1、20万円足らずです。それでも「ないよりはまし」ということですね。
※このコーナーは、実際に寄せられた相談をモデルにしたフィクションです。
文楽(人形浄瑠璃) だからおもしろい vol.5
『夏祭浪花鑑』(なつまつりなにわかがみ)
(国立文楽劇場)
●当事務所の親睦行事?を兼ねて、親子で文楽を楽しみました。演目にふさわしく天神祭宵宮の7月24日、日本橋の国立文楽劇場にて観賞しました。
●本作は「浪花節」よりも古い時代、浪花の人々の心意気を描いた人形浄瑠璃最盛期の名作です。
泉州の武士・玉島磯之丞(たましまいそのじょう)は傾城(けいせい)(遊女のこと)琴浦(ことうら)と深い中にありました。琴浦に横恋慕する大鳥佐賀右衛門(おおとりさがえもん)が磯之丞を狙います。玉島家に恩義があり、その悪だくみを阻もうとする団七(だんしち)、一寸徳兵衛(いっすんとくべえ)、釣船三婦(つりふねさぶ)、さらには徳兵衛の女房・お辰(たつ)らが大活躍します。
●団七が、佐賀右衛門と結んで琴浦を誘拐した義父の三河屋義平治(みかわやぎへいじ)と対決する場面がクライマックスです。義平治にいたぶられながらも、「悪い奴でも親」と必死に堪える団七でしたが…。全身刺青の団七が白目をむき、刀を振り回す様は「ど迫力」で、遣い手の名人芸を堪能することができます。
●神輿の囃子に乗って、舞台も客席も一体となって盛り上がっていく、痛快な作品です。
住吉大社や神津宮夏祭りの宵宮が舞台となり、長町(昔の日本橋)、松屋町など近隣の地名も出てきます。
●文楽鑑賞は初めての娘も、「解説(イヤフォン)なしでもよくわかった」と大満足。
そういえば、娘が保育園や小学生の頃は家族で「人形劇」をよく見たものです。
夏休み文楽特別公演は、第1部が親子劇場なのですが、年齢に関わらず親子で楽しめるのが「文楽」なのかもしれません。
編集後記
▼7月に東大阪市を襲ったゲリラ豪雨により、自宅が床下浸水。この4年で「二度あることは三度ある」を経験しました。市からの土嚢貸し出しを増やしたものの…心配です。
▼高校の同窓会で、「来年は還暦をみんなで祝おう」となりました。「私は遅生まれだから、来年は違う」という女性に一票投じたい。