2年前につづいて、今年も処遇改善加算の制度が改定され、加算額も増えました。前回の改定以後の実践にもとづき、加算に対する取り組み方をQ&Aにまとめました。
Q1.なぜ2年で加算の制度が変わったの? 加算はいつまで続く?
A1.国が「介護離職ゼロ」のスローガンを掲げた以上、3年ごとの介護報酬の改定を待つわけにいかなかったからです。
2年前に介護報酬を減額した影響は大きく、加算がなければ職員の賃金水準は改善どころか維持することすら難しく、介護業界の人材確保はますます困難になっています。むしろ加算に替わる制度、例えば全介護労働者への一律の交付金の支給などを検討してもよい時だと思います。
Q2.新設された加算(Ⅰ)を取るには何が必要なの?
A2. 以前の加算Ⅰ(今の加算Ⅱ)のキャリアパス要件(「任用基準」「賃金体系」)に加えて、「昇給できる仕組み」が加わりました。それでも、小規模な事業所でも十分に対応できるものと思います。むしろ、積極的にチャレンジすることをお勧めします。
Q3.加算(Ⅰ)の「モデル」はハードルが高すぎるのでは?
A3.厚生労働省のモデルは確かに賃金設定が高く、昇進できる役職(ポスト)を用意できる大規模な介護事業所を連想させます。そのため「うちはムリ」とあきらめてしまった事業所が多かったと思います。
しかし、求められているのは「昇給できる仕組み」であり、金額の多寡ではありません。
Q4. 昇給の規定をどう組み合わせたらいい?
A4.昇給の物差しは①評価 ②資格 ③経験と定められています。このうち、「評価」は小規模事業所では難しく(職員の働きぶりを誰がどのように評価するのか)、「資格」だけでは頭打ちになってしまう(初めから介護福祉士の資格を有する職員の場合など)ので、「資格」と「経験」の組み合わせが最も実践的です。
Q5.今年は届出期限に間に合わなかった・・・
A5.今回は制度の詳細が公表されたのが3月下旬、届出期限が4月14日という短期間だったため、就業規則・賃金規定の改定など、法人内で議論する時間も取れなかったのが実状でしょう。ただし、加算の区分変更は通年可能です。来年を待たず、今からでもレベル・アップをめざせます。
Q6.では、小規模な介護事業所でも加算(Ⅰ)は取れるのですね?
A6.これからも変わらず、かわちの社労士がサポートします。