かわちのタイムスN0.20(20160401)     ← クリックすると画像が見られます。

【1面】

6兆円も積立たてか! そら、返してもらわな

雇用保険料は引き下げ

給付は拡充?助成金も

 

雇用保険財政は積立金が6兆円を超えて過去最高となり、保険料が引き下げられました。

積立金は年間失業率が過去最悪の5・4%となった02年に落ち込み、収入確保のために保険料率が引き上げられました。

その後、失業給付を受ける人はピーク時の4割程度に減り、支出も減ったので、積立金が6兆円にも達したのです。

積立金は失業者の増加に備えたものですが、過剰な積立となっており、今回取り崩すことになりました。

◆賃金100万円につき1000円下げ

保険料率は、一律に1000分の2・5下がりました。そのうち労働者は1000分の1なので、年収300万円なら保険料は年3000円下がります。事業主は、同じく1000分の1と雇用保険二事業分が0・5下がります。(4月1日施行)

◆65歳以上も雇用保険対象に

雇用保険法のその他の主な改正点は次のとおりです。

①介護休業給付の率引上げ (8月1日施行)

②65歳以降に新たに雇用される者を雇用保険適用対象に

③再就職手当の給付率引上げ (②③は来年1月1日施行)

雇用保険財政の収入は減らすものの、支出である失業手当の拡充には慎重な様子です。

助成金の原資の雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)の財政も安定しており、保険料率が下がりました。

助成金の拡充も期待できそうで、珍しいことに2月10日から予算決定の前倒しでキャリアアップ助成金が増額されています。【下記参照】

 

これなら使える 雇用保険助成金 ⑦

【キャリアアップ助成金】

正規雇用等転換コース

★有期契約社員などを、正規雇用などに転換(または派遣社員を直接雇用)した場合にもらえます。

《もらえる金額》 社員1人当たり   増額 

転換前→後 中小企業 大企業 母子家庭等
有期→正規 60万円 45万円 +10万円
有期→無期 30万円 22.5万円 +5万円
無期→正規 30万円 22.5万円 +5万円

《キャリアアップ計画の例》

○○部門に配属後○年を経過した契約社員を正規雇用に転換するため、制度整備を行い、希望する契約社員に面接試験を実施し、合格者を正規雇用に転換する。

《手続の流れ》

キャリアアップ計画作成・提出 → 就業規則に規定→試験実施 → 正規雇用等に転換 → 6ヵ月賃金支給

→ 支給申請 → 支給決定

キャリアアップ計画・支給申請書の作成・提出は社労士が代行します。就業規則もお任せを!

 

雇用保険料率引き下げに

【2016年度の雇用保険料率】

一般の事業11.0/1000(会社 7・労働者 4)

農林水産等13.0/1000(会社 8・労働者 5)

建設の事業14.0/1000(会社 9・労働者 5)

 

【2面】

「保育園落ちた」

怒りのブログに思う

 

「保育園落ちた」のブログへの反響が止まない中、4月1日を迎えました。

この日は、保育園の入所式。21年前のことを思い出します。娘を生後3ヵ月から無認可保育所に預け、3月1日に入所決定。初めて認可保育所の門をくぐった日です。

「もし保育園に入れなかったら」… 娘の極度の食べ物アレルギー(アトピー)は幼児期のうちに治らなかっただろう。妻は介護福祉士の資格を取れなかっただろう。自分は、仕事に満足にとりくめただろうか。瞬時に様々なことが浮かんできます。

保育園不足は、あの頃と何も変わっていません。

昔は、保育園に入れない子どもを連れて、母親が福祉事務所に日参し、子どもを相談カウンターに座らせて抗議したといいます。今は、ネットで怒りを拡散したことが、世論を動かすことにつながったのです。

日本は「保育後進国」という指摘があります。06年版『OECD保育白書』によれば、5歳児まで保育を受ける権利を保障しておらず、かつサービスも有料である国は、日本とノルウェーのみでした。

日本は、現在でも普遍的な保育の権利を実現できていません。(山野良一著『子どもに貧困を押し付ける国・日本』より)

「子どもを保育園に預けたいなら、まず職に就くこと」「求職するのは、子どもを保育園に預けてから」。こんな堂々巡りの苦しみがいつまで続くのでしょう。

投じられた一石を無駄にせず、真の「待機児童解消」の実現につながる「子育て支援」が求められています。

 

だから映画はおもしろい vol.17

ベトナムの 妖しい彼女』

 (2015年、ベトナム)

●大阪アジアン映画祭で4本のアジア映画を観賞しました。ベトナム映画は今回、小特集として6本上映されました。

「妖(あや)しい彼女」は韓国で2014年に大ヒットした作品が元祖です。中国・ベトナム・日本でリメイクされ、タイ・インドネシア・インド版も製作が予定されています。まさにアジアを席巻している作品です。

ベトナム版の原題は『私があなたのおばあさんだ』。ドイモイ(刷新)の息吹が映画界にも広がっている中で、ベトナムの歴代興行収入第1位の映画になったといいます。

●映画は、70歳の毒舌家のおばあさん(大阪人としては親近感がわきます)が、20歳の容姿になって、若い頃の夢を叶えようとします。主演のミュウ・レーは若くて美人で歌がうまい「アイドル」ですが、若い男を足蹴にしたり、やりこめたりします。コメディーとして楽しめる作品です。

若いころはお嬢様だった彼女が、戦争のために没落して、女手一つで息子を育てたことなど、ベトナムの歴史背景を垣間見ることができます。息子の嫁との仲が悪く、家出をした彼女でしたが、孫の生命を救うために元の姿に戻ることを選択したのでした。

●「若返り」という、ありふれたストーリーながら、これだけ多くのアジア人から愛されるのは、「世代間の共鳴」「家族愛」などのテーマが底流にあるからでしょう。

公開中の日本版では、倍賞美津子と多部未華子が主演です。

※前号の回数は誤りで、vol.16でした。

 

編集後記

▼スギに次いでヒノキと「花粉前線休みなし」。カイロの次はマスクと目薬が手離せない毎日がつづいています。

▼年度末、テレビ各局のニュース・キャスターが相次いで降板しました。新編成になっても報道内容が「萎縮」しないことを望みます。『かわちのタイムス』は、今後も「自然体」で話題を提供していきたいと思います。